“会長書きおろし”20年間の年次レポート

2001.08.24~2002.08.23
さわかみファンド、こんなこともあったね(第3期)

さわかみファンドが船出して3年目は大時化となった。そんな荒海を、われわれの長期投資は敢然と立ち向っていった。暴風雨時こそ、これはと思う企業の株式を安値で買い仕込む絶好のチャンスなのだから。

実際、よく荒れた。2001年の9月11日に、米国で同時多発テロが発生。NY株式市場は閉鎖を余儀なくされ、世界経済の先行き不安が広がり各国の株価が暴落した。

10月からは、80年代後半のバブルで積み上がった銀行の不良債権問題が、いよいよ本格的な処理の段階に入っていった。企業の連鎖倒産や大量の失業を引き起こすのではないかと、社会全般に不安心理が広がった。そういった背景もあって、株価全般はズルズルと下げ続けた。

多くの投資家が尻込みする嵐の中、さわかみファンドは、ひとり気を吐いていた。それに呼応するかのように、ファンド仲間の皆様からもコンスタントに軍資金が届けられる。これは、実にありがたかったし、勇気づけられる。おかげ様で、狙っていた企業群の株価が大きく売られて下げたところを、どんどん買っていけた。3万名を越していったファンド仲間と、なんとも力強い二人三脚で荒海を乗り切っていったのだ。

たとえば、2001年8月には1ヵ月間で7月末純資産に対し13.8%もの資金流入があった。われわれ運用サイドは、この下げ局面を徹底的に買ってやろうと色めき立っていたが、それを上回る勢いで新規や追加の資金が次々と来着してくれる。頼もしい限りであった。まさに、「良い運用は良い顧客と」を地でいく幸せなファンドである。

おもしろかったのは、マスコミが前年までの「さわかみファンドはすごいぞ」といったトーンを、かなり下げてきたことだ。経済環境がこれだけ悪化し、株価全般もズルズルと下げていたこともあって、彼らはどうしても先行き不安を報道したがる。

そんなマスコミ報道に対し、うちのファンド仲間はまったくお構いなしの姿勢を、ますます強めてくれたのだ。まだ2年ちょっとのさわかみファンドなのに、これほどの信頼感はなによりもありがたかった。

この期は、株式市場もマスコミ報道も弱気と不安で一色だったが、さわかみファンドは意気軒昴もいいところだった。どんな投資環境にあろうと、われわれは本格的な長期投資を続けてやるぞと社内で語り合ったものだ。