“会長書きおろし”20年間の年次レポート

2003.08.26~2004.08.23
さわかみファンド、こんなこともあったね(第5期)

銀行の不良債権処理が一段落し、あれほど売り込まれていた株式市場もジリジリと戻り歩調に入っていった。さわかみファンドの基準価額の上昇ピッチはさらに早い。

社内は、「どうだ、みたか」でニコニコ顔だった。2001年からの下げ相場をトコトン買ってきた。その成果が、他を圧倒する成績差となって表れ出したのだ。

もちろん、それは徹底的な買い仕込みを可能にさせてくれた、ファンド仲間から次々と送り込まれた軍資金があってのこと。いくら感謝しても足りないほどありがたかった。生まれてまだ5年のさわかみファンドに、これほどまでの信頼と期待を寄せてもらえるとはと、感激で一杯だった。

この期は、しばしば月中や月次報告書で、「現時点で、すべてのファンド仲間の皆様がプラスとなっていただいている」と誇らしげに書くことができた。大時化の海を「ファンド仲間と力を合わせて乗り切ったぞ」という満足感に浸れた。

ありがたいことに、顧客口座数もお預かり資産額も急ピッチで拡大していった。こうなってくると、「すばらしいファンド仲間に、もっともっと集ってもらいたい。それには、どうしたらいいのだろう」と社内はどんどん熱くなる。毎晩のように遅くまで発泡酒を片手に語り合った。その中から、おもしろいアイデアが飛び出してきた。

それは、2004年4月の月中報告書から、ファンド仲間に向けて、「パワーあふれる投信会社」という発信がはじまったことだ。

30名のスタッフが平均年齢31.7才の若いパワーで、毎日の仕事に猛烈な勢いで取り組んでいる。そのあり余るエネルギーで、自分たちの思いをファンド仲間に発信したいという。即座に、「おもしろい、やろうじゃないか」ということになった。

はじめ、お客様は面食らったようだが、すぐにスゴイ反響が戻ってきた。「さわかみには、おもしろい人間が集っているね。みな熱いね」と言ってもらい、ますますお客様との距離が短くなった。

また、社員それぞれの名前を覚えてもらい、電話応対にも親近感が高まった。それどころか、「Y君いますか」とか「Aさんにつないでもらえますか」といった指名電話が、じゃんじゃんかかってくるようになった。まさに、手づくり運用ファンドの妙である。