“会長書きおろし”20年間の年次レポート
- 2006.08.24~2007.08.23
- さわかみファンド、こんなこともあったね(第8期)
この期中に、ファンド仲間数は10万人を超えた。基準価額の上昇スピードも2005年から加速し、遂に2万円を超えた。日経平均株価やTOPIXとの成績差は、どんどん開いていく。
すばらしい好循環を満喫しつつも、さわかみファンドは運用ビジネスのあるべき姿を突き進んで行った。質実剛健に撤し、Small is beautiful の哲学をとことん追求する。本格的な長期投資を地道かつ淡々と進めていく。骨太さも、日本の金融ビジネスでは例がない。まさに独自の道を行くだった。
そんな中、2006年10月にはヴィレッジ計画の候補地視察を開始した。営業などはせず本格的な長期投資をどっしりと展開していくのだから、さわかみ投信は東京に本社を構えなければならない理由も必然性もない。それよりも、社員やその家族そしてファンド仲間も一緒に、みんなで自然豊かな環境で暮せたら、どれだけステキか。財産形成という枠組みをこえ、このヴィレッジ計画に対しても、多くのファンド仲間から賛同いただいた。勉強会でも、相場のことよりもヴィレッジ候補地や移住の資格などの問い合わせが増えたのだった。
この期も終りに近づいた8月はじめに、米国でサブプライムローン問題が発生し、マーケットは激震に襲われた。さわかみファンドでは、2001年ごろから安値で買い仕込んでおいた保有株を、7月までの急激な上昇相場を薄く薄く売り上がっていった。それで、現金ポジションをずいぶんと高めていた。
すさまじい暴落相場で、とんでもないことが起こった。ファンド仲間の皆様からの買い資金が次から次へと入ってきたのだ。
前々から株価が大きく下げたら断固たる買いを入れるぞと言ってきた。それにファンド仲間が共鳴してくれて、びっくりするほどのファンド購入ラッシュとなったのだ。これには驚き、かつ大感激した。運用サイドでは、大暴落を慎重に見ていたのだが、次から次へとくる援軍に応えるべく個別企業を安値に買いまくった。
結局のところ、8月には317億円ほどを投入して暴落相場を買い向ったが、そのほとんどは新規流入資金で賄えたのだ。