議決権の行使に関する基本的な考え方
議決権とは株主の権利の一つで、株主総会に出席して、会社の利益の配分方法・役員の選任・定款変更など、会社の経営にかかわる重要事項について決議する権利のことです。私たちのファンドで保有する株式にも、もちろん、この議決権があります。
私たちは、ファンドの受益者であるお客さまを代表してこれを行使しますが、その際には投資先企業の価値が長期的に向上するような方向で考え、それを信託銀行に指図します。また、私たちは一旦保有した企業の株式は長期保有することが前提なので、株主総会の議決のみでなく、日頃から、企業の経営が適切に行われていることを監視し、経営陣に対してメッセージを発信していくことも考えます。
いずれにしろ、賛成すべきは賛成、反対すべきは反対、と私たちの立場を必ず明確に態度表明し、白紙委任するようなことはいたしません。
議決権行使のプロセス
議決権行使の意思決定は、社内の投資政策委員会を中心にして行います。
投資先企業の個々の株主総会議案について、まず調査担当者が議決権行使ガイドラインに沿って一次査定を行い、最高投資責任者(CIO:Chief Investment Officer)が賛成票または反対票を投じます。議決権行使ガイドラインに沿って行われた議決権行使に関しては、投資政策委員会で事後報告し、ガイドラインから逸脱した問題案件に関しては、投資政策委員会に議案として持ち込みます。委員会では、長期投資の観点でそれを審議しますが、最終的に、議決権行使の権限と責任はCIOに集約されます。
問題となる例
- 法令違反や反社会的な行為があり、企業側が適切な措置を施していない
- 企業の長期的成長に資するものでなく株主の利益を阻害する財務戦略
- 業績が長期低迷しているにもかかわらず経営改善努力がみられないなど
議決権行使ガイドライン
剰余金の処分案への対応
剰余金の処分については、その原資、将来への投資の必要性その他会社の経営状況を総合的に判断して、処分の許否及び処分の額が適当であるかどうか判断します。
自己株式の取得についても同様とします。
役員の選任・解任に関する議案への対応
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①取締役の選任・解任
新取締役の選任に関しては、各候補者の経歴等の情報を十分に検討した上で、適宜対応します。
既存の取締役の選任・解任については、経営者が経営責任を適切に果たしているかどうか(例えば、株主の権利の不当な制限、不適切な報酬体系の設定、経営不振の恒常化など)を判断して賛否を決します。
なお、社外取締役については、取締役の職務執行の監督者として適切かどうかを加味して判断します。 -
②取締役以外の「役員」(会社法第329条)の選任・解任
原則として賛成します。ただし、監査役の変更があり、それが前任の監査法人の会計監査の厳格さによるものと認められる場合には、反対票を投じます。
社外監査役については、候補者の経歴等の情報を十分に検討した上で、適宜対応します。
資本構成に関する議案への対応
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①発行可能株式総数の引き上げ
資金調達の必要性について検討し、その内容が合理的なものであれば賛成します。
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②募集株式の発行
特に有利な金額での発行など株主総会決議を要する募集株式の発行については、その必要性、発行する金額など情報が十分に明らかで、それらを総合的に考慮して合理的な理由があれば賛成します。
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③合併・買収
個々の案件が議決権行使をしようとする企業にもたらす影響を慎重に検討した上で、適宜対応します。
役員報酬に関する議案への対応
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①役員報酬
役員の報酬、賞与に関しては、企業の経営状況を十分に考慮した上で、適宜対応します。
役員退職慰労金については、在任中の業績等を十分に考慮した上で、適宜対応します。 -
②ストック・オプション
ストック・オプションの場合、株式価値の希薄化が些少であり、かつその内容が報酬制度の一環として合理的なものであれば賛成します。また、権利行使価格の引き下げを求める提案については、原則として反対します。ただし、市場価格水準の全体的な低下を理由とする場合には、検討を加えます。
買収防衛策導入に関する議案への対応
その手続きが株主にとって公正なものか、防衛策自体が経営陣の自己保身を目的とするものでないか、その企業の成長にとって必要なものかなど総合的に判断して適宜対応しますが、原則として反対票を投じます。
定款変更などその他重要な議案への対応について
議案の内容等を十分に検討した上で、適宜対応します。
抱き合わせ提案への対応
内容的に関連性の薄い案件が組み合わされて一つの議案として提案されている場合、案件毎に切り離して評価した上で、全て賛成と考える場合のみ賛成とします。
株主提案への対応
議案が株主の提案によるものであっても、上記原則に照らして同様に検討を加え、適宜対応します。
その他
社会的責任のある企業として、社会的に不適切な慣行が生じた場合には、その慣行を是正した上で、再発防止策を講じていくべきです。
このような点において、企業側が適切な措置を施さなかった場合には、その企業の株式を売却することも選択肢の一つとしてありますが、議決権行使として意思表示する場合もあります。
その他
議決権行使の基本方針の改廃は、投資政策委員会で行います。
外国株式の議決権行使について
外国株式に係る議決権については、原則として国内株式のケースに準じて行使します。その際には、当該国の実情に応じて、適切な対応をとるように努めてまいります。
議決権行使の状況
直近の議決権行使結果はこちらからご覧になれます。
さわかみファンド第19期より議決権行使結果の個別開示を掲載、第21期より反対した議案および説明を要する(補足説明含む)と判断した議案等については、その理由を記載しております。個別開示に関しては、その期中に行われた全議決権行使結果がご覧になれます。
直近の議決権行使結果 | |
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2024年 | 議決権行使の状況(2024年5-6月総会・議決権行使結果) |
2024年 | さわかみファンド第25期議決権行使結果の個別開示 |
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