金融庁が自主公表を求める「比較可能な共通KPI」が主要運用会社から出揃ったようです。18年3月末時点では、投資信託で運用する投資家の約半分が含み損という惨憺たる数値が露呈された一方で独立系直販会社の健闘が垣間見えました。
トップは鎌倉投信の99.8%(含み益である受益者の割合)、次いでコモンズ投信97.7%、さわかみ投信95.6%、レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)91.0%という具合です。一言でまとめれば、上昇相場を売らずに持ち切った受益者が多いほど数値が優位となり、独立系直販各社の強みはそこにあると見出せました。では19年3月末時点ではどうだったのでしょうか? 前年に84.9%だったセゾン投信が97.8%とトップに踊り出て、ありがとう投信94.8%(前年未公表)、さわかみ投信92.9%、コモンズ投信83.6%、鎌倉投信81.6%と続きます(2年連続上位に独立系直販投信以外もある(93.8%→88.5%))。あれ…レオスは? 飛ぶ鳥を落とす勢いのレオスは45.0%と下位に落ち込んでいます。しかしここには前年の“投資家の約半分が含み損”と同様に落とし穴があります。弊社の盟友レオスは直近の受益者数の伸びが大きく、この1年の下げ基調の相場の影響を大きく受けてしまったのです。
共通KPIは計測する時期や運用成績に関わらない事象にも大きく左右されます。弊社ではそれが誤認識を与え得ると公表を控えた経緯があり、今なお考えを変えていません。相場暴落時に計測したら投資信託全体が壊滅状態となるでしょう。それを見て投資信託はダメというレッテルを貼られては意味がないのです。むしろ暴落時は将来の上昇を期待し徹底的に買うのが理想なのですから。
前年と同じことを述べるならば、受益者の生の声をもって共通KPIの行間を埋める必要があります。さわかみファンドはおかげ様で今月23日に20周年を迎えました。20年という長期保有者の声を広く届け、投資信託の本質を世に問う覚悟です。
※2019年3月末時点で残高がある個人のお客さまの1999年8月の設定日から2019年3月末までの取引データを基に集計。運用損益計算については「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPI」の定義に従う。(https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20180629-3/02.pdf)