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子育て費用の平均はいくら?国の子育て支援策も解説

子どもを授かると、養育費や教育費などさまざまな出費が発生します。

特に、まとまった資産の準備がない家庭では、子どもが小さいうちから早めに子育て費用の準備をしておかなければなりません。

そこで本記事では、子育てにかかる平均的な金額や子どものライフステージ別費用、政府や自治体の子育て支援策などについて詳しく解説していきます。

子育て費用の平均額はいくら?

まずは、子育てにかかる費用である「養育費」の平均額を確認しましょう。

内閣府が実施した平成21年度の調査「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、子ども(第一子)の0歳から6歳までにかかる費用は約736万円とされています。

子育ての費用の内訳

同調査における子育ての内訳は以下の通りです。

  •  衣類・服飾雑貨費
  •  食費
  •  生活用品費
  •  医療費
  •  保育費・教育費・学外活動費
  •  子どもの携帯電話料金
  •  おこづかい
  •  お祝い行事関係費
  •  子どものための預貯金・保険
  •  レジャー・旅行費

子どものライフステージ別の教育費

次に、子どもが大きくなる過程で必要になる「教育費」について、子どものライフステージ別に見ていきましょう。

未就学児の教育費

内閣府の先の調査によると、就学前(0~6歳)の第一子は6歳までに合計約180万円の費用が発生するとみられます。

先の調査が実施された当時は幼児教育・保育が有償であったため、3歳以上の教育費から負担が跳ね上がっていましたが、現在では幼児教育・保育の無償化が実現しており、以前より負担は減るでしょう。

一方で、こうした制度による無償化は全ての教育費に適用されるわけではなく、通園する際の送迎費や食費、一部の文房具など、教育に付随する費用は各家庭で負担しなければなりません。

小学生の教育費

同調査では、小学1年生から小学6年生までの間にかかる教育費を約130万円としています。

小学校から子どもに塾以外の習い事をさせる親も多いため、6年間で約56万円程度の学校外活動費が発生する家庭もあるようです。

中学生の教育費

中学生の子育て費用は、公立・私立によって金額が大きく変わってきます。

先の調査によると、中学校3年間で必要な学校教育費の総額は約82万円で、1年あたり約27万円となっています。

一方で、文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」では、公立中学校の学校教育費(給食費含む)が年平均は約17万円なのに対して、私立中学校では約107万円となっており、約6倍の差があります。

高校生の教育費

文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」によると、高校生の学校教育費は、公立高校で約31万円、私立で約75万円となっており、公立と私立で2倍の差が生じています。

また、高校生は大学進学を目指し、塾などに通うこともあるため、これ以上の教育費がかかることも想定しておきましょう。

こうした予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習をするために支出した経費を、「補助学習費」と呼びます。

上記の調査によると、公⽴高校(全⽇制)の補助学習費は、1年で17万円程度となっています。
一方で、私立高校の1年の補助教育費は、24万円程度となっています。

大学生の教育費

日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」では、大学生の生活費(学費・生活費を合わせたもの)の平均年額を公表しています。

同調査によると、昼間部に通う4年制大学の学費と生活費の合計は約181万円、短期大学で約156万円となっています。

4年制大学についてそれぞれ詳しく見ると、国立大学の学費と生活費の合計は約143万円、公立大学は約137万円、私立大学は約193万円となっています。

また、大学の場合、子どもが親元から離れて一人暮らしをするケースも増えてきます。

地方から都心部への大学に行く場合などは、引っ越し費用や月々の家賃なども発生し、子どものアルバイト代だけでは賄えない場合は両親が工面する必要も出てきます。

政府や自治体の子育て支援策

国は、子育て世帯に対してさまざまな支援策を打ち出しています。今回は、その中から代表的な支援策をご紹介します。

幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育料無償化の制度により、幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が無償化されました。

対象となる施設は、幼稚園、保育所、認定こども園、地域型保育、企業主導型保育施設など、幅広い施設が対象です。
※幼稚園の預かり保育、認可外保育施設等は利用料無償化の月額上限があるため、事前に確認しましょう。

児童手当

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人を対象に、経済的な支援がなされる制度です。

支給額については、0歳から3歳未満で月額15,000円、3歳以上から小学校修了前で月額10,000円、中学生で月額10,000円です。

原則として、毎年6月、10月、2月にそれぞれの前月分までの手当が支給される仕組みになっています。

子ども医療費助成

子どもの医療費助成は、各自治体が実施している制度で、健康保険の適用される医療についての負担を軽減するための支援策です。

該当の自治体で子どもの医療費助成を受けるには、その自治体の住所に居住している必要があります。

細かな要件は自治体によって異なるため、お住いの自治体のホームページで確認してください。

高等学校等就学支援

高等学校等就学支援金制度は、就学支援金を支給することで、高校教育の経済的負担を軽減することを目的とした支援策です。

本制度は、国公私立問わず、高等学校等に通う世帯年収約910万円未満の世帯であれば受けることが可能です。

しかし、上記の世帯年収は両親のどちらかが働いている場合であり、年収の要件はやや複雑です。
本制度を利用する際には、一度文部科学省のホームページで確認してみましょう。

文部科学省|高校生等への修学支援

子育て費用を準備するために有効な方法

子育てには大きな出費が伴います。そのため、将来必要となる費用を事前に準備しておくことが重要となります。

必要な教育費や生活費など、具体的な費用を見積もり、毎月の家計を見直して無駄な出費を減らすことが大切です。
また、学資保険に加入したり、投資を活用したりといった手段で資産を増やすことも有効です。

今回は「NISA制度を活用した投資」と「学資保険」について、ご紹介いたします。

NISA制度を活用した投資

NISA制度とは、少額投資非課税制度のことを指します。
通常、投資信託等に投資して利益が発生した場合、利益を確定させると20.315%の税金を支払わなければなりません。しかし、NISAを活用すると、NISA口座内の取引であれば利益を確定させても非課税となります。

2024年から開始する新NISAは非課税期間が無制限になり、最大1800万円の投資元本まで非課税で運用することができます。制度の対象となる金融商品に一定の制限がありますが、新NISAは子育て費用を準備するために活用したい有効な制度の一つとなります。

金融庁|新しいNISA

学資保険に加入する

学資保険は、教育資金の準備を目的として保険料を払込み、進学時に学資金・お祝い金として一定額を受け取りつつ、満期時には満期保険金を受け取る仕組みが一般的です。

また、学資保険は預貯金とは異なり、万が一の場合に備えた保障がセットになっているのが一般的です。契約者が死亡したり、重度の障害を負ったりした場合は後の支払保険料が免除されるため、万が一にも親が働けない状況になった場合でも子どもの教育資金を用意することができる点は学資保険のメリットと言えるでしょう。

学資保険は生命保険の1つとして扱われるため、「生命保険料控除」を受けられることも大きなメリットです。この生命保険料控除では、1年間に支払った保険料に応じて、税金計算上の所得金額から一定の金額が差し引かれるため、所得税などの税負担が軽くなります。
生命保険料控除は会社員なら年末調整時に、自営業者は確定申告時に申請することができます。

※個別の保険商品の設計や特約の有無等によって、本記事の記載内容とは異なる場合もありますのでご了承ください

まとめ

私立学校への進学、留学、一人暮らしといった子どもの進路選択等は、事前に予測ができない要素も多く、当初考えていた子育て費用よりも多くの費用が発生する可能性もあります。

子育て費用は家計の負担として重くのしかかりますが、可愛いわが子のためにしっかりと準備したいのが親心でしょう。

だからこそ、各種制度への理解も深めつつ、早い段階から資金計画を立てておきましょう。

2023年7月1日時点の情報をもとに作成

 

さわかみ投信代表の視点

まぁ、一般論だよね。
大切だけど、あまりガチガチに考えなくても良いと思う。
愛情があれば、良い子に育つ。