つみたて投資とは、一定金額を定期的に投資し、それを長期間継続する投資手法のことを指します。
税金や保険料など負担が増える中で将来の不安を解消するためには、つみたて投資による長期的な資産形成が最適と考えられています。
そこで本記事では、つみたて投資のメリット・デメリット、商品を選ぶ際のポイントなどについて詳しく解説します。
つみたて投資とは?
つみたて投資とは、一定金額を定期的に投資し、それを長期間継続することで資産形成を図る投資方法のことです。
つみたて投資のメリットは、短期的な市場の変動に左右されず、長期的な視野で投資できることです。また、投資するタイミングの分散による高値掴みリスク低減(時間分散)も期待されるため、投資初心者にもおすすめの投資方法です。
一方で、つみたて投資のデメリットは、短期的には大きな利益を得られないことや、まとまった資産を作り上げるまでには一定期間継続する必要があることが挙げられます。
つみたて投資の投資対象を選ぶ際のポイントは、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことです。また、手数料や信託報酬も重要なポイントとなります。つみたて投資は、将来の資産形成に向けた一つの選択肢として検討してみることをおすすめします。
つみたて投資の仕組み
つみたて投資をする場合、一定の投資金額を設定し、投資を長期間にわたって継続していくことになります。
その仕組み自体は証券会社のシステムなどによって自動化できるため、手間がかからず、忙しくて時間がない人、投資するタイミングがわからない投資初心者でも簡単にはじめることができます。
つみたて投資は一度に大きな投資をするのではなく、少額から定期的に投資することができるため、投資タイミングの分散による高値掴みリスク低減(時間分散)が期待されると考えられています。
つみたて投資のための商品を購入する方法
つみたて投資は、投資信託やETFなどの商品を扱っている金融機関を通じて始めるのが一般的です。これらの商品を取り扱っている金融機関は、銀行や証券会社(ネット証券含む)などがあります。
多くのネット証券では、スマートフォンアプリやPCから簡単に取引ができるため、手軽さが魅力です。
商品の選び方については、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。ほかにも、手数料や信託報酬など、投資リターンを左右する項目も選定に置いて重要なポイントとなります。
つみたて投資のメリット
次に、つみたて投資のメリットをご紹介します。つみたて投資は少額投資が可能で、投資するタイミングを分散させることで高値掴みのリスクを低減させること(時間分散)も期待されます。また、投資信託をつみたてるのであれば専門家による運用が可能になることから、投資初心者にもおすすめの投資手法となっています。
少額から投資が可能
つみたて投資は少額からでも投資することが可能なので、まとまったお金がなくても投資をはじめられます。
たとえば、日本の個別株を購入する場合、まとまったお金を用意しなければならないケースが多々あります。
一方で、投資信託をつみたて投資する場合は月額1万円程度の少額から投資を始めることも可能となります。
時間分散が可能
つみたて投資は時間分散ができることもメリットのひとつです。
つみたて投資は定期的・長期的に投資を継続する仕組みになるため、投資タイミングが分散され、一括投資と比較して高値掴みリスクの低減(時間分散)が期待されます。
つみたて投資のデメリット
つみたて投資にはデメリットもいくつか存在します。ここでは、元本保証や手数料について主に解説します。
元本保証がない
投資信託につみたて投資する場合、そもそも投資信託には元本保証というものがないため、「元本割れ」のリスクが存在します。
そのため、投資信託へのつみたて投資だけをあてにして老後の資産形成を図っていると、想定外の暴落により老後の計画が狂ってしまうこともあるでしょう。
もし元本割れのリスクが怖い場合は、定期預金の活用や、個人向け国債への投資も考えられるでしょう。
ただし、これらの投資商品は投資信託によるつみたて投資と比べて安全な分、投資利回りは極めて低く、投資効率は良くないと考えられています。
リスクとリターンのバランスを考えながら、上手に複数の投資商品を併用するとよいでしょう。
手数料が発生する
投資信託をつみたて投資する場合、投資信託はプロに運用を任せる投資商品となるため、手数料が発生します。手数料は各投資信託によって異なりますが、手数料が高いと当然投資効率は下がります。
手数料には販売手数料、信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額等がありますが、投資信託説明書(交付目論見書)などで確認ができるため、購入前にチェックが必要です。
短期的な売買に向かない
少額からつみたて投資する場合、投資額が大きくなるまでに長い時間を要します。得られる運用損益は投資額に比例するため、つみたて投資をはじめたばかりの時期は資産額が小さく、投資商品の運用自体は成功していたとしても大きな利益を得ることが難しい可能性があることがデメリットと言えるでしょう。
同時に、つみたて投資は短期でキャピタルゲインを狙う投資手法とは大きく異なります。短期間で大きな利益を得たいという方には向いていません。
人々がつみたて投資をはじめる理由
つみたて投資が資産形成の手段として人々に選ばれているのは、以下のような背景があります。
預貯金では資産が増えないから
現在日本では低金利が続いており、日本銀行金融機構局の「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について」によると、普通預金の金利は0.001%程度と資産形成商品としては心もとない状態が続いています。
こうした中で、定期積立預金のように積立ができ、3%程度の利回りも狙うことができる投資信託へのつみたて投資が選ばれるようになっています。
ほったらかしで資産運用したいから
投資を行う人の多くはサラリーマンや個人事業主など、専業投資家以外の労働者です。
そのため、日中は働いていることが多く、投資のために多くの時間を使うことはできません。
そこで、時間や労力がかからず、プロに運用してもらえる投資信託へのつみたて投資が人気を得ているのです。
将来のために資産を残しておきたいから
将来のための資産を残しておきたいという人も、つみたて投資を検討することが多いようです。
たとえば、子どもが生まれた後の教育費や老後の暮らしのために資産を残しておきたいと考える人は、若いうちから将来のために資産形成をしたいと考え、つみたて投資を選択する傾向にあります。
また、投資信託へのつみたて投資はインフレにも強いと考えられるため、長期の投資を考える際に有利になると考えられています。
つみたて投資をする投資商品を選ぶ際のポイント
つみたて投資をする投資商品を選ぶ際には、以下のようなポイントがあります。
- 自分に合った商品を選ぶ
- 信託報酬が低いこと
- 過去の運用実績を確認する
- 少額から申し込みができること
以下で詳しく解説します。
自分に合った商品を選ぶ
つみたて投資をする投資商品を選ぶ際のポイントは、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことです。つみたて投資の投資対象には、投資信託やETFなど様々な商品があり、自分に合った商品を選ぶことが非常に重要です。
たとえば、個別株式に投資する場合、リスクが相対的に高くなるため、投資初心者にはおすすめできません。また、自分が目指す資産形成の目的に合った商品を選ぶことも大切です。たとえば、リスクを抑えた保守的な資産形成をしたい場合には、債券型の投資商品が適しているかもしれません。
信託報酬が低いこと
さらに、手数料や信託報酬などの費用も選ぶ際のポイントとなります。これらの費用が高い場合は、長期で見ると利益が減少してしまう可能性があるため、費用についても慎重に検討する必要があります。
また、商品の選び方については、各金融機関や証券会社のウェブサイトを調べる、もしくは担当者に相談することをおすすめします。さらに、詳しい解説やランキングなどを掲載しているウェブサイトもありますので、参考にすると良いでしょう。
過去の運用実績を確認する
投資信託によるつみたて投資を考える際は、投資信託の過去の運用実績を調べることが重要になります。
投資信託の運用会社や販売会社のホームページには月次報告書(マンスリーレポート)が掲載されており、これを見れば対象となる商品の実績が確認可能です。
ただし、投資信託につみたて投資をする場合、数カ月の運用実績を見ただけでは良し悪しを判断できません。
できるだけ数年間に渡る長期の実績を確認し、投資判断に役立てましょう。
少額から申し込みができること
少額から申し込みができることも、つみたて投資をはじめる上では重要な要素です。
たとえば、ヘッジファンドに投資する場合、1,000万円以上でなければ申し込みができないことも多々あります。これでは投資初心者ではないとしてもハードルが高すぎます。
少額から申し込むことができ、生活を圧迫しない水準で投資ができることも重要です。
まとめ
つみたて投資は、定期的に一定の金額を投資し続けることで、長期的な資産形成を図る投資方法であることから、将来の資産形成への意識が高まっている現代においては、多くの人が選択肢に入れる投資手法となっています。
つみたて投資は少額で手元資金が少ない状態ではじめられるため、初心者でもすぐに投資ができるというメリットがあります。
一方で、そもそも投資商品には元本保証がなかったり、手数料が発生するといったデメリットも存在します。また、つみたて投資は短期で成果を上げる手法ではないため、あくまで将来の資産形成のために行うのがポイントです。
つみたて投資のメリット・デメリットをよく理解し、自分に合った投資手法、投資商品を選びましょう。
2023年4月1日時点の情報をもとに作成
一般論的には上記の内容で正しいのだけれど、実際に運用する立場、そして長く業界にいる人間から見ると、どうしても「その通り」とは言い難い。唯一、正しいと思える記述は「短期には向かない」という部分のみ。一言でつみたて投資の利点を挙げると「収入の一部をつみたてられるため、生活を守りながら投資リズムが身につく」程度かな。つみたて投資は財産形成にはとても有効な方法だけど、万能ではないよ。