世界中の医師から信頼されるグローバル・ニッチ企業
大手企業の寡占化が進む医療器具の業界の中、同社は手術用縫合針、眼科用ナイフ、歯科用治療器で高いシェアを誇っています。同社の成長を牽引してきたアイレス縫合針を含む、手術用針の国内シェアは約9 割、海外売上高比率が6 割超と国内のみならず世界中の医師から圧倒的な支持を得ています。その理由は「世界一の品質を実現すれば、自ら営業しなくても売れていく」という信念に基づいた製品開発を行っているからです。年2回「世界一か否か会議」を開催し、他社の製品を分析して自社製品が品質的に優れているかを判断し、世界一でなければ発売中止もありうるという徹底ぶりが同社の生命線であり現在の礎を築いています。また、戦略的に田舎にしか工場を作らないという方針のもと、ベトナム、ミャンマー、ラオスといった新興国に早くから進出しており、その地でもあえて田舎を選ぶことで優秀な人材の流出防止を図っています。そんな同社の今後の課題は、北米市場でのシェア拡大や国内の研究開発強化があげられます。規模が小さいながらも付加価値を国内に残しつつニッチな市場でグローバルに活躍する同社の将来が楽しみです。
【運用調査部 トレーダー 根本 一成】