「パパラギ」
エーリッヒ・ショイルマン著
立風書房
昔、ある友人から贈られたのが本書。読み進んでいるうちに、「そうなんだよな。やはりオレは、なにがなんでも本格的な長期投資を広めていくぞ」と、人生の方向がはっきり固まっていった。
われわれは毎日の生活で、文明とはなんなのか、本当の豊かさとはなんなのかと深く考えることはない。もう当り前のように、物質的に豊かな生活を受け容れてしまっている。
ところが、南の国で豊かな自然に育まれて心やさしく生きている人々にとっては、文明社会のひとつひとつが全身にビンビン響いてくる。われわれが「これは便利だ」で済ませていることも、「なにが便利なんだろう?その便利って、本当だろうか?」と、いろいろ気にかかってしまう。
この感性というか、みずみずしい感覚こそ、長期投資で一番大切にしたいところのもので ある。「なんで、お金が必要なの」「なんのために、お金を殖やしたいの」を抜きにしては、やみくもにお金を追い求めるだけの金権盲者となってしまう。
長期投資は「より良い社会をつくっていこう」とするものであり、そのために「お金をまわしていく」ことである。となると、いつでもどんな時でも「良い社会って、どんなの」を徹底的に考えては、「こういうことなんだろう」と思える方向でお金をまわしていく必要がある。
その時、本書が提起している「豊かな生活って、本当はどんなものか」が、ずっしりと重みをもってくる。われわれの長期投資も、常にそこへ原点戻りする必要がある。