「最高の戦略教科書 孫子」
守屋 淳著
日本経済新聞出版社
もう何冊になるのだろう、若い頃からずいぶん読んできたのが「孫子」であり、マキャベリの「君主論」である。「君主論」については、いずれ書こう。
投資運用ビジネスに身を置くうちに、戦争の歴史的記述から戦術や戦法まで、いろいろ勉強することになった。
そんな中、真っ先に読んだのが、「孫子」であり、「孫子の兵法」といった書物だった。ふと思い出して、なつかしさを覚える。
同じ「孫子」でも、著者によって解説の内容がすこしずつ違う。それも、また楽しからんやで、あれやこれやと読み比べたものである。
そこで本書だが、これまでの「孫子」とはちょっと違う。なにしろ、著者の守屋淳さんとは長いお付き合いとなっているからだ。
ご縁があって、弊社で月1回のペースで「論語」の勉強会をやることになった。その先生役を務めてくださっているのが守屋淳さんである。もう5年近くやっているが、まだ全体の3分の2ぐらい。経営者など多くの方が外部から出席され、いろいろ意見を述べ合う。そういった道草を食うのが主体の勉強会なので、なかなか進まない。毎回夜7時から2時間びっしりやっているというのにね。本書はまさに、「論語」勉強会の味わいをたっぷり感じさせられる、ぶ厚い内容となっている。
あえて言うと、本書によってはじめて「孫子」が血となり肉となってくれるかなという感じである。それまでの、「なるほど」「たしかに、そうだ」といった勉強ベースの「孫子」より、ずっと身になってくれそう。