炭素業界の小さな巨人
特殊な黒鉛を作らせると右にでるものはいない
売上規模はそれほど大きくありませんが、「等方性黒鉛」や「C/Cコンポジット」と呼ばれる特殊な黒鉛を作らせると国内では右にでる企業はありません。世界でも数社あるだけです。等方性黒鉛は、黒鉛に均一性(つまり等方性)を持たせることで黒鉛の力学的強度をアップし、加えて不純物を徹底的に制御することで製品性能を飛躍的に向上させています。その用途は、半導体製造用るつぼ、電車のパンタグラフのすり板、金型製造用電極等様々で、どれも消耗品ですのでビジネスが安定しています。また、当社は等方性黒鉛において約30%という世界トップシェアを誇り、利益率も製造業では抜群です。あまりにもハイエンドで、当社製品を輸出する際には、安全保障上、国の許可が必要になります。その他、黒鉛の高融点や中性子の減速材としての機能を利用して、最新型水素製造原子炉にも使用されています。昨今の世界的な太陽電池過剰供給問題で、現在当社は苦しい状況にあります。しかし、長期的に半導体が無くなることは考えにくいこと、半導体以外の分野への進出も行っている点、そして、当社の「できるまで諦めない」という精神には、期待が持てます。
【アナリスト 石井 聡】