「百戦百勝
働き一両・考え五両」
城山 三郎著
角川文庫
30代から40代前半にかけて、いわゆる相場ものを読みまくった。本格的な長期投資で運用の世界に入ったわけだが、投機を含めて投資全般にまで勉強の手を広げてみたかった。その心はといえば、孫子の己を知り敵を知らば、百戦して危からずやである。
相場ものの多くは、名だたる投機家の話が多い。長期投資とは違う世界だが、人間的には魅力的な人もずいぶんいる。
その中の一人が、本書の主人公。副題の「働き一両、考え五両」にあるように、切ったはったの相場の世界で主人公は読みと情報を駆使して財を成していった。
最近の株式市場をみるに、切ったはったが昔より激しくなっているように思える。1秒間に1,000回の売買を繰り返す高速売買をはじめ、ヘッジファンドの売り買い両建てなど、どれも相場にどっぷり浸って値ザヤを取りにいくだけ。
そういった相場追いかけのマネーゲームに巨額の資金が動いているから、その時その時をみる限り、彼らはすごいパワーを発揮する。あたかも日本株市場を動かしているかのように。
まあ、長いめでみればキント雲に乗って飛びまわる孫悟空のようなもの。宇宙の彼方まで飛んでいったつもりが、なんのことはないお釈迦様の手の平の中だった。
どんなにすごいヘッジファンドでも、経済や景気の大きなうねりには従わざるを得ない。われわれ長期投資家は大きなうねりを先読みして流れに乗っていく。
相場追いかけと長期投資との違い、さわかみファンドを買いながら相場ものをひもといてみてください。