「静かなドン」
ショーロホフ 著
岩波文庫
長期投資をしていくにあたって、経済や投資の勉強をするよりも、大河小説を読もうとよくいっている。
とりわけ投資の勉強は、すればするほどマーケット追いかけのテクニックに走ったり、理論でガチガチとなる。投資なんて、安く買って高く売るだけのこと。暴落相場の安値で買っておけば、株価がすこし戻っただけでいつでも利益を出せる。
大事なのは、暴落相場で買えるかどうかだ。多くの投資家は相場暴落時に一刻も早く売り逃げようとするあまり、投資価値を無視した価格まで叩き売ってしまう。暴落相場が一段落した後で考えるとバカな行動をしたと反省する。これも人間の欲得勘定のしからしめるところ。
マーケットをみていると、そういった過剰反応の繰り返しである。そこを、どう克服するか?
もともと読書が好きで、いつものごとく「静かなドン」を読んでいた。ふと、ひらめいた。
なんだ、主人公は時代の変遷に翻弄されつつ、どう生きたか、それが小説の主題テーマとなっているけれども、その背景にある農民の生活はなにも変っていないじゃないか。時代がどんなに移り変わろうと、農民や一般生活者は昨日と同じ暮らしをずっと続けているのだ。
経済は人々の生活と、それを支える企業活動が集ったものであり、長期投資もその中にある。マーケットがどう変動しようと、人々の毎日の生活は相変わらず続いている。長期投資も、そこに焦点をあてるだけでいいじゃないか。 それで、ふっ切れた。暴落相場をニコニコ顔で買えるようになった。そこからだ、大河小説といわれる大作を次から次へと読み漁っていったのは。