「農業・衛生」で経済発展前の段階で世界に貢献できる化学企業
進出先に乞われる海外展開がその信頼の蓄積の証明となっている
日本の総合化学企業(ナフサの分解能力を持つ大型化学企業)6社の内の1社。中でも「海外に強い」と定評を持つ。
現在では現地国営企業からの誘いで始まったサウジアラビアでの世界的に競争力の高い巨大石油化学事業の成功がその印象をより強くしているが、1983年シンガポールにASEAN初のエチレンセンター(石油化学の基礎となるプラント)を当時の案件の中で一番貧乏くじと言われるなか、商社に頼らず自らの力で成功に導いた経験が礎としてある。加えて同社の柱で現在も世界に拡がる農業化学事業においても、1970 年代からメッカの巡礼者流入に伴うサウジアラビアの保健衛生問題を解決してきた歴史を持っており、同国からの誘致は信頼の歴史の顕在化であると当ファンドでは見ている。
又、バランスシートにおいて1998 年に当時の適格退職年金の予定利率を5.5%から2.3%まで下げる国内企業の中でも先進的な取り組みを行っており、財務の健全性を確保していく企業体質が現れている。このような質実剛健な姿は、外部環境が悪い時でも同社の経営判断を信じて待つことができる長期投資家にとっての信頼感につながっている。
【アナリスト 斉藤 真】