「ラ・ロシュフコー 箴言集」
ラ・ロシュフコー著
岩波書店
経済なんて人々の毎日の生活が集まったものにすぎない。人々が飲んだり食べたり着たり住んだりする、それを企業のビジネス活動が生産・供給という面から支える。その全部が経済である。
それらを高いところから眺めると、毎日毎日がなんら変わることなく営まれている。まるで、大河の滔々たる流れのように。
そこが、われわれの長期投資のベースとなる、「なにがあっても変らない、大きな流れ」である。
ところが下へ降りて、まわりを見渡すと、景色は様変りである。そこは、人間の欲得計算やら喜怒哀楽が入り混ざったドロドロの世界。その中に、日々の相場もある。われわれ長期投資家が、つかず離れずで応対する相手でもある。
もともと、人間とはどんな行動をするものかに興味をもっていた。そこへ長期投資の世界に足を踏み入れたから、もう興味どころではなくなった。いろいろ学ばなくてはと、人間学という類いの書物を読み漁った。その一冊が本書である。
本書では、著書の鋭い人間観察が、これでもかこれでもかと展開されており、「なるほど」「なるほど、たしかに」と納得の山また山である。 おもしろいのは、これだけ人間観察力と洞察力に秀れた著書だが、その人生は平坦でなかったようだ。ずいぶん下手な生き方をしたようで、それこそまさに人間社会というものかと妙な納得もした。