事業改革に目途をつけ、社会インフラ企業として
機関車の如く力強く動きだした同社に期待します
同社は連結ベースで従業員32万人、関係会社1000社超の日本の巨大製造企業の一つです。しかし規模の先入観を持たずに同社のHPを眺めると、シンプルな目標がそこに見えます。それは「社会インフラ創りへの挑戦」、私たちの社会生活に密着したテーマです。蓄積した素材開発力と製造力を土台に、ITと社会インフラを組み合わせて社会環境を進化させています。同社の高機能材料がなければ次世代自動車は作れませんし、半導体装置なくしてクラウド情報社会は生まれません。また、得意の高効率高速エレベーターなくして世界の高層ビルは存在しませんし、高速鉄道も正確なダイヤ制御なしでは走行できません。
5年間に及ぶグループ効率化改革の目途が立ったいま、課題は絞り込んだ事業をいかに大きく成長させるか。強い製造力と高いIT解決能力を両輪に、スピード感をもって更なる飛躍への挑戦が始まっています。さらに海外売上比率が5割となり、真のグローバル化に向け古い殻を捨てて新たな組織へと脱皮を図っています。技術オリエントから脱して新たな境地を目指す同社は、日本の製造業の先行きを問う試金石とも言え、大きく変貌しつつある同社に私は期待します。
【アナリスト 一井 玉治】