長期投資に対する思い
冒頭から私事で恐縮ではございますが、夫がロンドン赴任になり帯同するため退職することになりました。もっと多くの方々に長期投資を伝えたかったので、今回の海外赴任には動揺いたしましたが、夫をサポートすべく帯同することにしました。渡英前に私の長期投資に対する思いを綴りたいと思います。最後までお付き合い頂ければ幸いです。
長期投資との出会い
入社後、お客様から度々どうしてさわかみ投信に入社したのかと質問を受けたことがあります。弊社のことを知ったのは今から4 年程前、前職で上司とゴルフをしているときの会話からです。世の中の役に立ちながら資産運用できるファンドがあると教えられたことが弊社を知ったきっかけです。当時の私は個別株投資をやりながらも、金融に疎く、村上ファンド事件のイメージからファンドは銭ゲバの人たちがやるものと思っていましたので、社会貢献しながら資産形成できるファンドがあるということに胸が高鳴り、家に帰った後すぐに検索しました。
調べてわかったことは、長い時間をかけて子供に残したいと思えるような社会を創り出してくれる企業が安く放置されている時に買い、市場の評価が高まったら売るを繰り返すことで資産を増やしていくファンドであるということでした。私は大切な人たちと長く深く関わりたいですし、大変なときには支えたいと思っていますので、長期投資は数ある資産運用の中で最も私の価値観にあった方法だと感じました。投資はギャンブルだと母に言われながらも、その考えに違和感を持ち続けていた私はこの長期投資にその違和感を取り除いてくれる答えを見つけた気がしました。長期投資を通して世の中の役に立ちたい。そう思ったことが入社したきっかけです。
投資はギャンブルなのでしょうか。
私はギャンブルだとは思いませんが、一方で投資はギャンブルだと毛嫌いする人が多いように思います。実際、私の母もその一人でした。バブル崩壊のころ、株で多額の借金を負った知人がいたことから投資は人生を狂わせる悪というイメージをもっていました。そもそも株なんてやらなくても真面目に働いて、そのお金を銀行に預けておけば減らないのだからそれで十分と言い切ります。本当にそうなのでしょうか。
時代の変遷
第二次世界大戦後、日本には護送船団方式と呼ばれる保護政策があり、日本の銀行は倒産しないという不倒神話が存在しました。高度経済成長期と安定成長期を通じて金融機関の破綻がなかったことや高金利であったこと( 高いときで郵便貯金3 年以上定額貯金利率8.0%) は国民に預金すれば安全という概念を定着させました。安全で10 年経てば元本が倍になる預金は多くのお金を集め、銀行はそのお金を企業に融資することで、日本は急速な成長を実現しました。歴史を顧みれば銀行にお金を預けておけばいいという主張は頷けます。しかしバブル崩壊後、政府の方針は「銀行は潰さない」から「市場から退場すべき企業は退場させる」へと転じ、預金金利は低下し続けました。その上、アベノミクスが狙う消費者物価指数の上昇が実現すれば相対的な現金価値の低下を引き起こし、少子高齢化は社会保障費を増加させ、年金支給年齢の引き上げは老後に備えるべきお金を増加させるなど、預金依存は将来に対する備えを不足させかねません。
投資を通じて豊かな社会を創りたい
2014 年末、日銀・資金循環速報によると個人金融資産は1,694 兆円で、うち現金・預金が52.5%、株式・出資金は9.5%、投資信託は5.5%と現金・預金が半分以上を占めており、株式や投資信託を行っている人は少数派です。これは逆に、現金・預金から投資への切り替えは日本を豊かにする可能性を大いに秘めていると言うことができます。将来の自分のため、大切な人のため、世の中のために投資する人が増えれば、ゆったりと住みやすい社会を育めると信じています。私は一旦日本を離れますが、入社当初の思いに変わりはありません。
最後に感謝会や企業訪問ツアーなどを通して多くのお客様から温かいお言葉を頂きました。勉強会では厳しいご意見を頂戴したおかげで新たな視点で課題を考えることができました。本当にありがとうございました。金融立国イギリスでたくさんのことを学んで日本に帰って来たいと思います。
最後に感謝会や企業訪問ツアーなどを通して多くのお客様から温かいお言葉を頂きました。勉強会では厳しいご意見を頂戴したおかげで新たな視点で課題を考えることができました。本当にありがとうございました。金融立国イギリスでたくさんのことを学んで日本に帰って来たいと思います。
【アナリスト 内藤真理子 】