佐賀県 小野寺様
長期投資でおもしろい世の中を。
その思いが育まれる、小さなヴィレッジを訪ねました。
日本の未来を地方から変えていく新たな挑戦がそこに。
東京は下町に生まれ育ち、前職は広告マンの小野寺さん。山里に暮らす炭焼き職人の家族と出会い、三瀬村(佐賀県)への移住を決意した。「人がつくった商品を広めるおもしろさもありました。ただ、ささやかでいい。自分が手をかけたものを、人に届けたかったんです。」
会社を辞めて16 年。「広大な藪(やぶ)をかき分けていくようだった。」と振り返る。自ら炭を焼き、田畑を耕し、二人の子宝にも恵まれた。山川を眺める高台で養鶏を始め、家族には青空のもとを元気よく走り回るにわとり達も加わった。
仲間で出資して設置したソーラーパネル。
その返済利子はなんと卵。
人・モノ・金がグローバル化し、世界中が資本や生産効率の向上に血眼の今日、小野寺さんには田舎から提案したい百姓の生き方がある。「近所で毎朝2 時から酒まんをつくり、地元で販売する笑顔の素敵な5 人のおばちゃんがいます。畑作だけでは食ってくのが厳しいからと、彼女たちが自ら起ち上げた饅頭ベンチャー。九州で大人気ですよ。」
国からの補助金ありきじゃない。困ったら仲間と「知恵・米・お金」を持ち寄って人に喜ばれる新しいモノを創り出す。先進的、ただ一昔前の日本では当り前だったかもしれない百姓の暮らし。
さらに、昨年訪れたイタリアからも学べることがあったという。「あの国って、経済と文化の間に“ 際(きわ)” がないんです。田舎のオリーブ農家でも、自家製オイルを直接海外に輸出するし、週末はゆったりとオペラを聴く。景気が何であろうと、変わらない生き方がある。私たちにもできると思うんです、私たちなりの生き方で未来を拓いていくことを。」
利子は「卵」
実際、小野寺さんは米づくりと養鶏のかたわら、地元の集落や企業と協力し、食とエネルギーの「自立」を目指す。例えば、鶏舎の麓にある「電気の畑」と呼ばれるソーラーパネル。設置資金は仲間からの出資だが、その利子は何と「卵」。売電収入から返済しつつ、毎年出資者を畑に招き「卵の授与式」を行う。銀行も株式市場も通さない、養鶏家ならではの直接金融。今は集落に声をかけて小水力発電の導入も検討中だ。
「祖父が証券会社を経営していました。会うとよく言われたんです。『愛でてイイ桜は山桜。人と同じ道を歩いていたら、出会えないんだ。』他人の情報に群がらず、自分が信じる道を歩く。その礎になろうとするさわかみ投信に、安心と嬉しさがあります。正直、今の金融の世界にもこのような企業、人がいてくれるのだなと。」新たな時代に、新たな道を。職業・年齢・住まいに関わらず、挑戦する方々の夢と暮らしを長期運用で支えたい。私たちの想いです。
ご馳走になったパンや卵、野菜。
ほとんどが自家製または近くの農家からいただいたものだ。
など100 人が集まる。米づくりの「大変さ」を教えるのではなく、一緒につくる「楽しさ」を分かち合うために。
帰り際、畑の入口に立つ小さな木の看板に目が留まった。「しあわせでありがとう」お子様が彫ったこの言葉の先に、みんなで眺めたい未来が詰まっている。