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超高齢社会の現状において、今の日本に求められる介護とは 

 

201506_talk5.jpg草刈(以下草) 弊社ではこれまで、介護ビジネスへの投資はほとんどありませんでした。日本は超高齢社会を迎えましたが、御社はきちんと企業として利益をあげていらっしゃいます。しかも、単純にコスト削減した利益ではなく、従業員の昇給やスキルの向上なども含めた成長によってこれからも企業価値が向上する企業だと考えています。介護業界のトップを走る御社の状況をお聞かせいただけますか。
 
古江(以下古) 営業収益では、1 位がニチイ学館、2 位がベネッセスタイルケア、その次に当社となります。我々の強みは、いわゆる有料老人ホームと言われるような施設の運営と、いま脚光を浴びている、サービス付き高齢者向け住宅の運営。あとは、自宅への介護サービスの提供。施設・集合住宅・在宅という3 つをバランスよく運営していることにあると思います。
 
 
ビジネスモデルの構築
 
 一般的に、優れたサービスはより料金が高くなるというイメージですが、御社は業界の常識を覆し、リーズナブルな価格で提供されています。良いものであっても、企業側の工夫次第で入居する人の経済的ハードルを下げ、多くの人に提供しようとする思いが、御社の根源的な競争力に繋がっていると思われます。なぜそのような差別化が図れたのでしょうか。 
 
 常に新しいものにチャレンジするのがメッセージだと思います。まず有料老人ホームをスタートさせましたが、そこでは低価格帯に特化しました。当時入居一時金は家賃の3 ヶ月分が一般的だったのですが、それを新規開設施設でゼロにしました。お客様には大変喜ばれ、すぐに満室になりましたね。これだけ喜ばれるんだったら全部やろう ということで、2006 年に全施設の一時金をゼロにすると、また入居率が高まりました。
 すると同年、厚生労働省が総量規制というのを打ち出してきたので、有料老人ホームを作れなくなってきました。そこで我々がいち早く注目したのが当時の高齢者専用賃貸住宅「高専賃(こうせんちん)」(現・サービス付き高齢者向け住宅「サ高住(さこうじゅう)」)というものです。これを次の成長ドライバーとして考えました。
 最初に「C アミーユ」というブランドを3~ 4 年かけて手がけ、ある程度軌道に乗った時点で、もともとやりたかった在宅の仕事に着手しました。これは一から手掛けるとなると大変時間がかかるので、当時在宅のオペレーションで業界2 位だった「ジャパンケアサービスグループ」を子会社化し、サービスを開始しました。彼らは24 時間フルサービスのできる定期巡回随時対応型介護サービスにいち早く取り組んでいたので、そのノウハウを勉強したかった。今これを約60 ヶ所で手掛け、ようやく1/3 が黒字化しています。これは国が推奨している「地域包括ケアシステム」、そして24 時間介護が受けられる仕組みということで、国の流れにも合致しています。そして次の切り札と考えているのが「Zアミーユ」。これは、人口密集地に事業所を構え、在宅介護サービスを提供します。自宅で有料老人ホームと同じサービスを受け、食事をフルに食べて月7 万円台という画期的な仕組みをやろうとしています。 そういった風に、常に次は何が必要とされているのかを考えながら走り続けている企業。これが我々のカルチャーみたいなところだと思います。
 
 競合企業と言われる他社と価格設定やサービスの豊富さという点で一線を画してると感じます。なぜ他ではできないことが御社ではできるのでしょうか。

 いや、他社でもできるとは思いますが時間がかかるでしょう。我々は常に、今どのような介護が一番必要とされているのかを考えています。やはり自宅で最期を過ごしたい、施設より自宅で介護を受けたいというのが願いでしょう。また夜間に何かあった時にもすぐに訪問できる、24 時間体制の仕組みが理想的です。
 
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