「人間の條件」
五味川 純平著
岩波現代文庫
若い頃、本書をむさぼり読み、6時間に及ぶ映画も観た。その影響もあって、戦争はいけないと考えるようになった。
その後ヨーロッパに渡り、国際政治・経済・地政学を学んだ。同時に、陸続きのヨーロッパ大陸では、侵略と戦争が繰り返されてきたことを現地で実感した。国と国との防衛協定から不可侵条約まで、幾度となく締結されかつ反故にされてきたのは歴史の示すところ。
あちらでは、いくら戦争はいけないといっていても、隣国から攻め込まれたらどうするか?戦うか、侵略されるがままとなるか、どちらかしかない。
それもあってか、スイスでは自国防衛のため国民皆兵制を敷くなど、すごく軍備を充実させている。永世中立国であり、国連ヨーロッパ本部を設置するなどしているスイスにおいてでもだ。
戦争はいけないもの、されど隣国から戦争を仕掛けられたらどうするのか?海に囲まれた日本といえども、きちんと考えておかねばなるまい。
世界各国すべてが平和愛好国となり、軍備を完全放棄してしまえば、戦争は地上から消えてなくなる。それは理想論であり、かなり非現実的な願望である。
一方、世界から貧困を減らし、人々が豊かになっていけば戦争は間違いなく減らせる。古今東西の戦争を研究するに、食えないから食糧略奪に走ったり、飯をたらふく食わせてくれるから軍隊に入るといった例に事欠かない。
より多くの人々に本格的な長期投資を広めていくことが、ひとつの解となろう。