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椿と花水木
津本 陽著
幻冬舎文庫

  いつ頃か、ジョン万次郎という人物のことを知りたくなった。幕末に通詞として活躍したジョン万次郎って、一体どんな人だったのだろう。
 たまたま本書を手にして、上下巻を一気に読み終えた。漂流の身から数奇な運命でアメリカの生活を体験したあたりが一番面白かったし、思いもよらず大いに参考となった。
 古き良き時代のアメリカ、そこに住む人々の精神性の高さや謹厳実直ぶりが行間から溢れ出ている。新天地アメリカを築いていった人々の理想主義が、あちこちにちらばっているではないか。
 長期投資の先に広がる、心豊かで人間としての優しさにあふれた、穏やかな生活というものをヴィレッジ計画では実現していきたいと思っている。そこでは、金銭的あるいは物質的な豊かさの追求ではなく、美意識や精神性の高さが問われる。
 

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 そんな青くさいことをと言われるかもしれないが、古き良き時代のアメリカでは、それがごく普通の生活だった。否、アメリカだけではない。日本にも全国各地で当り前のようにあった生活文化である。
 それがいつしか、物質的な豊かさと金銭の多寡を第一とする生活に追いまくられるのが日常となってしまった。その横で、そういった流れについていけない人々を大量生産している。
 どのような価値観を採るかは、人それぞれの自由である。しかし、時には古き良き時代の幸せというものに心を向けてやるのも大事ではなかろうか。
 

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