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 2015年9月12日(土)パシフィコ横浜で開催された運用報告会は2,200名の参加となりました。私は25年間勤めていた大手投信会社を辞めて、9月にさわかみ投信へ転職して来ました。これまで機関投資家として各種の運用報告会を見てきましたが、最初から最後まで熱気あふれる運用報告会なんて初めてです。一般的な運用報告会で受ける意見は「運用成績が悪い!」等です。ところが、この日にファンド仲間(個人投資家)から頂戴した意見は「投資って楽しいものなんですね」という驚くべきものでした。いったい何が違うのでしょうか?

投資家の楽しい

 

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▲新幹線 車軸用ベアリング

 運用調査部の私が担当したのはアナリストツアーでした。出展企業35社のブースを4ブロックに分け、1グループ15名で企業を巡り紹介を行います。どんな仕事をしている会社なのか言葉で説明するのが難しい会社もあります。たとえば「ベアリングを作っている会社です」と説明してもイメージができません。「自動車などの軸受です。機械の回転部を支えます」と言葉を足してもピンとこないのが普通です。皆さんも遠慮があるので「理解できません」とは言えません。結局ボヤっとしたまま説明が終わることが多いのです。そこをなんとか解決できないものでしょうか?実は、その解決策が企業ブースにありました。ベアリングの実物が置いてあるのです。手に取って触ることができます。非常に細かく複雑な形状とデザインの美しさを見て、企業の知恵を想像することができます。思わず「へぇ~」とうなってしまいます。「やっぱりモノづくり日本の企業のこだわりはスゴイね」「知らないことを知るのは楽しいね」という声が聞こえます。イメージできると好奇心が膨らむので、自然と質問が飛び出します。「何故この形になったのですか?」「技術者は何に苦労したのですか?」この反応に喜ばれたのはブースを開設していただいている企業の方々でした。
企業の楽しい
 いままで個人投資家に質問されたことがなく、そもそも注目されたことのなかった企業の方々にとってうれしいサプライズになったそうです。そして「初めて個人投資家に理解してもらう重要性を感じました」と話していただきました。出展企業の出席者はIR(Investor Relations)といって、自社企業を投資家に対してアピールする広報活動を担当されています。ここでの投資家とは財務諸表や損益計算書などを読み込んで投資判断を行う金融機関のことで、今回のように庶民感覚の個人投資家と話をする機会はあまりありません。決算書を求められることなく、好きだからという理由で投資をしてくれる個人投資家は、日常の堅苦しい常識とかけ離れて新鮮なのかもしれません。多くの出展企業の方々から「来年はもっと力を入れますので参加させてください」「最初は仕事だと割り切って仕方なく出展に応じたけど、今は楽しいからやらせてほしい」という感想をいただきました。
さわかみ投信の楽しい
  運用報告会の主催者であるさわかみ投信も楽しい思いをさせていただきました。それは企業と投資家の縁を結ぶ仲人としての役得です。普通の金融機関はお金の移動を取り持つのが役割です。投信会社は運用成績が良ければ自分たちの役割も果たされる。しかし、さわかみ投信は満足しない。長いご縁が続くことに楽しいと感じます。縁を取り持つために長い準備期間を設けて、1年に1度の縁結びをワクワクしながら企画しているのです。昨年来られたあの方は今年も来ていただけるだろうか。ファンド仲間への想いがさわかみ投信の楽しみです。
アナリストの楽しい
  他社が投資収益率という結果を目的とするのに対し、さわかみ投信は投資という行為=プロセスの楽しみもファンド仲間に示します。旅の楽しみが目的地だけではなく、途中のご縁にもあるように。我慢して投資結果を待つのではなく、毎月投資を続けながら投資企業の素晴らしい活躍を楽しむ。また、普通の運用会社は数か月先の株価を見込んで投資するのに対し、さわかみ投信のアナリストは10年先の業績見通しと10年以上先の社会生活を想像します。現在の状況から掛け離れた夢物語を語る未来学者なのかもしれません。アナリストとして、長期投資に値する企業を発掘することに楽しさを感じています。この手法は、他社のアナリストが目先の業績向上のネタを探しているのと比べて大きく異なります。数字を追うだけでなく長期投資という物語性を持つことがさわかみ投信の強みなのでしょう。私は今、さわかみ流の数字と空想を掛け合わすブレンド分析を楽しんでいます。
アナリスト 根本 幸治

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