特殊鋼を中心に磁石、鋳物まで高シェア製品を展開。
ニッチからボリュームへの戦略転換で更なる成長に期待。
社名を目にすることは少ないが、自動車エンジン、モーターや金型、シェーバー替刃など私たちの日常生活のどこかで実は当社製品が使われている。日立製作所の子会社とはいえ親会社向け売上は数%に過ぎず、顧客はメーカーで自動車、インフラ、電機と幅広い。たたら製鉄の伝統を受け継ぐ独自の鋳造法で鋼中の炭化物を微細かつ均一に分散、他社よりも性能の高い特殊鋼を開発できるのが強み。その高性能製品で特定需要に特化したニッチ市場を開拓してきた。工具鋼で国内シェア4割、希土類磁石で世界シェア6割、アモルファス材料では9割を占め、業績は安定。しかし近年、企業規模が大きくなり売上規模の小さいニッチを狙うだけでは設備投資や研究開発費を増やせない。こうした伸び悩みを打破するため、14年に経営方針「守りから攻め」をスタート。海外販売網の拡充と航空機や新興国で事業領域拡大を図っている。経営体制も一新して、海外企業の買収や不採算事業の売却など"攻めの戦略"はスピード感を持って実行中。参入障壁の高いニッチ市場に甘んじることなく、さらなる収益拡大を目指して販売と事業のボリュームを増やす変革へ舵を切った。"変化する企業だけが生き残る"自ら変わろうとする勇気を持つ同社に期待しています。
【アナリスト 村上 康弘】