工場の自動省力化を支える空圧機器のトップ企業
新興国での人件費高騰やロボット需要が追い風
SMCは空圧機器で国内シェア6 割、世界シェア3割を占めるトップメーカーです。空気を圧縮した反動で大きな動力を伝達する空圧機器は、組立、充填や搬送などあらゆる産業の工場生産ラインに用いられています。同様の機器には油圧や電気で動くものもあります。しかし空圧は、それらと比べ安価で安全、かつメンテナンスが容易な為に、自動化・省力化で最も導入しやすい選択肢です。一般的な知名度は高くありませんが、同社の過去十年間の平均営業利益率は25%。六十年前に金属合金で創業し、空圧は後発参入ながら不況時でも在庫増や人員増を恐れず迅速な製品供給に挑戦し続け、日本を代表する高収益企業の一社となりました。世界56 カ国に260 カ所の営業所を持ち、顧客ニーズを素早く汲み取って60万品目もの製品を開発。競合企業が10 日間掛かる製品を3 日で納入しています。
世界経済の先行きが不透明な昨今、景気動向に左右される同社の業績も懸念されています。それでも新興国では人件費高騰を背景に自動省力化投資が急増しています。更に空圧は油圧よりも敏速で、同じサイズなら電動よりもパワーに勝ります。従って掴んだり放したり微妙な動きをするロボットや医療機器向けに大きなポテンシャルがあると注目、期待しています。
【アナリスト 村上 康弘】