生活者目線を大切にしている「さわかみファンド」。数ある組入企業の中には、名前は聞いたことがあるけど一体何の会社なのだろう?と思われる会社もあるかもしれません。今回は、私たちの暮らしの中で活躍するそんな会社の製品の一部をご紹介いたします。意外な発見があるかも!?
世界最大級の自動車部品メーカーであり、過去5年間で研究開発費は約1.5兆円。売上高に占める研究開発費が約9%にも上る研究開発型企業です。その莫大な資金から数多くの世界初・世界最高の製品が生み出されています。そのような同社において、パワートレイン製品と並んで高い売上高を誇るのが熱機器関連です。特にカーエアコンでは世界シェア30%。もはや搭載されていて当たり前になっていますが、快適な自動車空間を実現するためには不可欠な製品です。快適性に貢献する製品がエアコンならば、安全性はADAS分野※です。人間でいえば、目となるミリ波レーダーとカメラ、脳となるECU(Electronic Control Unit)を自ら開発できる総合力を武器に、これから急成長するであろうADAS市場での躍進に期待します。
※ADAS(先進運転システム) Advanced Driver Assistance System
安全性と利便性を向上させるシステム。カメラで周囲の人や物を認識し、衝突を察知すると自動的に制御を行うなど、人間の認知・判断・操作のサポートをする。
三菱重工は船舶用などの大型エンジン向けターボを長らく手掛けてきましたが、これまで培ってきた技術を生かし、より小型の自動車用ターボにも進出しています。高速回転機械の技術をベースに性能・品質を磨きながら着実にシェアを伸ばし、今では年間1,100万台の生産体制を目指す事業にまで育て上げています。欧州を中心に年率10パーセント以上の成長を続けるターボ市場。今後はアメリカ、アジア、日本でもガソリン車を含めた「ターボ化」が進む可能性を秘める中、同社の躍進に期待が高まります。
ガソリンエンジンを点火するためのプラグ、酸素濃度などを測るための各種センサ。この2つに強みを持つのが日本特殊陶業です。競合はボッシュとデンソーであり、同社の売上高は両社の1/10以下です。しかし製品の競争力や販売力では負けておらず、プラグや酸素センサでは世界シェア1位を誇っています。セラミックスの特殊な性質を活かした事業を展開しています。電気を流すと超音波振動する、金属よりも硬く摩耗に強い、高温に強く熱衝撃にも強いなどの特徴があります。同社のセラミックスは、過酷な環境下などの特殊な用途に使われており、製造プロセスにおける複雑なノウハウも必要なことから参入障壁は大変高い分野であると言えます。
※スパークプラグ
燃焼室内に顔を出して、混合気に着火するライターの役割をしています。電圧は2~3万V。家庭用の電圧は100Vなのでその200~300倍の電圧です。熱い燃焼ガスと冷たい混合気と厳しい環境にさらされる強度が求められます。
エンジンのカム軸を駆動するために欠かせないタイミングドライブシステムに使われるチェーンで世界トップクラスのシェアを誇るのが椿本チエインです。タイミングドライブシステムはエンジンごとに異なるため、顧客とのすり合わせが欠かせません。同社が選ばれる理由は、品質や安定供給力もありますが、同社らしい開発への取り組み方にもあると考えています。研究開発設備は顧客と同等以上のものを保持し、各種試験機は内製しています。それらによって詳細なデータを得ることで、顧客との開発を円滑に進めることができます。対して欧米他社はシミュレーションでの性能評価が中心のようであり、こうした椿本チエインらしい取り組みが同社の競争力の1つにあるのでしょう。
実用化から26年、その間数万人の命を救ってきたと言われる自動車のエアバックシステム。そのシステムのまさに心臓であるインフレーター(ガス発生装置)を世界シェア1位の供給量※で支えるのが株式会社ダイセルです。瞬きするよりも早い0.02秒の間に、バック膨張のためのガスを適切に発生させることを、100年近く取り扱う火薬の燃焼を知り尽くした同社の知見が可能にしています。実用化からの歴史は長いですが、システム全体との摺合せや軽量化の要望など未だに開発の余地は大きく残っています。また完成品は一つずつ使用(点火)検査ができるわけでないため、歴史的な信頼の積み重ねが事業の高い参入障壁になっています。
※インフレ―ター単独。
意匠性にかかわる部品の中でも大きな役割を果たすのが、自動車の目ともいわれるヘッドランプです。ヘッドランプのメーカーはいくつかありますが、自動車向けだけでなく、光で社会貢献を理念に事業展開されているのがスタンレー電気です。近年自動車ヘッドランプにおいてハロゲンからLEDへの置き換えが進んでいます。LEDを用いることで従来にはなかったシャープで幾何学的な目のデザインも可能となりました。また自動車ヘッドランプは製造が難しく、内部不良率が高くなってしまいがちです。全世界での安定供給が自動車部品メーカーに求められる現在において、これまでに培ってきた生産のノウハウが今後とも活かされることに期待します。