世界でも限られた企業が持つカラー写真フィルム技術。
世界最高品質を創出した粘り強い研究開発姿勢と蓄積技術で今後も進化し続ける。
1934年にフィルムの国産化を図り、大日本セルロイド(現 株式会社ダイセル)の写真フィルム事業を分離継承して前身の富士写真フィルム株式会社が誕生。倹約を尽くして資金力を養い、その後ひたすら研究開発と設備投資、販売網の整備を行い、小西六(現コニカミノルタ株式会社)を抜いて国内トップとなり2000年には大巨人コダックを抜いて世界の頂点に立った。
しかし同年、カラーフィルムの世界総需要はピークをつけ、その後は年率20~30%のペースで需要が激減、10年後にはその1割まで縮小してしまった。営業利益の6割を占めていた事業が崩壊する中でも生き残れたのは、デジタル化の小波が立った’80年代初頭からその研究開発に取り組み、10年、20年の年月をかけてデジタル技術を育てていたからである。
その結果、主流事業の崩壊が始まった時には、X線画像や内視鏡システムのデジタル化、液晶部材など新規事業が立ち上がってきており、事業構造の転換ができたのだ。 同社は創業来こうした粘り強い事業展開をしている。今後も危機の兆候を見逃さず、重点事業のヘルスケアや高機能材料、ドキュメントを中心に技術を蓄積して、時代に認められる新しい価値を生み続けてほしい。
【アナリスト 大澤 眞智子】