おかげ様で「さわかみファンド」運用報告会は今年9月の開催で4回目を迎えるに至った。ファンド仲間や投資先企業、そして運営関係者の1人でも欠ければ会は成立しないだろう。改めて全ての方にお礼申し上げたい。無論、志を持って臨む社員がいるからこそ。
2013年、さわかみ投信は初めて“運用報告会”なるものを構想した。運用は説明するものではなく結果を出すもの。毎月の報告書にてファンド運用状況は十分に開示しており追加説明は不要である…運用報告をしないことが不文律であった当社が敢えて会の開催に踏み切ったのは、さわかみ丸の乗客の皆さまに長期航海過程の景色をも楽しんでいただきたいとの想いからだ。紙とインクで構成された結果数字の羅列は大切だが、企業そして社会が変わりゆく様をファンド仲間と共有できれば長期投資の醍醐味を更に深く味わっていただけるだろう。突然の舵きりにも意気揚々と臨んだ“運用報告会2013年”は、残念ながら期待に届かず幕を閉じたのだった。
世界を震わせた米国サブプライムローン問題と翌年のリーマンショック。「価値の成長は一日にして成らず」と日々を努力する企業を尻目に、知ったことかと言わんばかりに市場は暴落した。金融が実体を支配する経済は一時的なもの、むしろ応援時だと当社は下げ局面に立ち向かった。多くのファンド仲間からお買付けをいただき、その想いを市場にぶつけたのだ。しかし孤軍奮闘では市場の暴挙に抗えなかった。
経済とは企業の供給と生活者の消費で成り立っている。それはまさに紙の表と裏の関係で、企業成長は裏面である我々の生活の豊かさに繋がる。そもそも企業活動とは未来の消費者に選ばれる努力をするものだ。いずれ花咲き実なることを夢見て。投資家はその夢をパートナーとして応援できる存在なのである。皆が逃げ惑う時にリスクをとって企業を応援した投資家には、後の豊かな社会に貢献した企業の成長、株価の反映をもって投資リターンが戻ってくる。つまり投資とは、企業と共に未来をつくっていく行為なのだ。多くの個人に支持される企業が市場に台頭し、選ばれない企業は市場退出を求められる。結果的に皆が求める社会を創造できるのも資本市場の役割なのではないか。
アナリストや運用者、私などが語っただけの“運用報告会2013”はリアリティがなかった。その反省を生かし“2014”では投資先企業にも出展いただくスタイルに改め、第1回としてようやく目指している会に近づけた。ファンド仲間には企業の今、そして未来を体感いただきたい。同時に企業には、ファンド仲間という本格的な長期投資家の存在を知っていただきたい。この成功例を基に4回目となる「さわかみファンド」運用報告会2017を今年9月2日、舞台を関西に移し実施する。
【代表取締役社長 澤上 龍】