さわかみファンドは今年8月で19年目を迎えます。長寿ファンドとして帆を進めるなか、ワクワクする芽が出はじめました。弊社のセミナー等でお会いする方から、「長期投資だよりで紹介されたファンド仲間のお店に行ってみた」「セミナーで知り合った○○さんと仲良くなって、情報交換するようになった」というようなお声をいただくことがあります。
設定当初はファンド仲間の皆様とさわかみ投信という二者間の関係でしたが、運用報告会等を通じてファンド仲間・さわかみ投信・投資先企業の輪に変化してきました。そして今、上記のようにファンド仲間同士のつながりが少しずつ広まっています。
良いモノやサービスはさわかみファンドの投資先だけでなく、実は身近に存在することもあります。そして生まれたてのアイデアや事業ほど、応援しなければ消えていきやすいものです。そんな応援が個人の行動にも広まれば、未来は私たちや子どもたちにとって豊かな社会により近づくのではないでしょうか。
今回のお客様インタビューでは、その実体験を三宮様にお聞きしてきました。「ファンド仲間がファンド仲間を応援する」と言えば、「お金を持っているからでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、三宮様ご自身も財産づくりをされている私たちと同じ一般生活者です。どのような人生を歩まれて、そのような行動につながったのかご紹介させていただくことで、少しでも豊かな社会につながればと思います。
興味・関心を追いかけることから始まる
先日私から学生に、将来何をしたいのか聞く機会がありました。ただ、その回答は「別になんでもいい」「やりたいことが見つからない」とさみしい内容でした。そんな矢先に今回のインタビューをさせていただいた三宮様の職業選択は、「やってみたい!おもしろそう!」の連続で、人生を愉しむにはとても重要な要素だと気づかされました。
農家で生まれ育ち、ご自身も農業に従事したいと考え、東京の農業大学へ進学。渡米して農業を経験し、牧場をやりたい!と地元高知へ戻りました。実際に牧場で勤めた後、高知県全域の農業経営のコンサルティングをされたそうです。しかし農業の経営規模の小ささに徐々に物足りなさを感じていたところ、ご友人からマイクロフィルムを利用した情報処理の会社を起業すると声をかけられ未経験ながら転職。そして時代の流れで情報処理がコンピューターに転換されていく中で、情報処理で培った技術を活かし、特殊製本の会社を起業し30年も経営を続けられました。
人のつながりから始まった長期運用
起業して数年後、余裕資金ができ始めると、証券会社にお勤めのご友人から投資の話が来るようになったそうです。ご自身は会社の経営で多忙の上、余裕資金は少しずつ増えてくるため、勧められるままに株式や転換社債等を購入していきます。加えて、会社の付き合いもあり年金型保険や損害保険等に多数加入され、多額の掛け金に当時は負担に感じることもあったそうです。ただ三宮様の場合、それらに助けられます。1998年に発生した高知県の集中豪雨で工場や家は人の丈ほどまで浸水し、製造機械もすべて買い直しのため突如莫大な借金を抱えることになったそうです。しかし積立てや保険に加入していた時期が金利の高い時代だったことも功を奏し、負担を軽くすることができました。この事により、商品を保有するきっかけとなった人付き合いの重要さや時間をかけて資産をつくる大切さを知ったそうです。
災害を通じ、人から教えてもらいながら始めた資産運用から、能動的に長期で運用できる先を探し始めます。そこで知ったのがさわかみファンドでした。
ファンド仲間がファンド仲間を応援する
さわかみファンドを始めて数年が経ち、三宮様はセミナーであるお客様に出会います。
「高知を元気にしたい、会社を辞めて農業ビレッジで若い人が集まる場所をつくりたい」、このように話されるファンド仲間にぜひ頑張ってほしいと思い、人の紹介や資金面で支援されました。
私が、お金を出すことに恐怖心や抵抗はなかったのか訊くと次のように返ってきました。
「見返りばかり求めてもダメ。会社の経営と同じで、応援される側は精一杯頑張るしかないし、頑張ってくれていると思う。この事業は、物販で利ざやを稼ぐ商売ではない分、苦労する。人間関係をつくり、ノウハウを提供して、リターンが生まれるため時間がかかる。そんな大変なことを好きでやっていて、地域の活性化にもつながる。だから応援したい。」
三宮様ご自身も、会社の経営を65歳で終えた後、地元高知を盛り上げるために様々な活動をされています。産業が少ない高知を観光で盛り上げようと、高知城を国宝にする取組みやジョン万次郎の顕彰会を開かれています。
“自分も動くが、お金にも働いてもらい人やモノを応援して、地元を元気にさせたい”
こういった流れが日本全体に広がれば、良い世の中になるはずです。この芽を増やすために、さわかみファンドをしっかり生活に根付かせたいと思います。
(直販部 中津)
三宮 洋一 様
30代で起業、65歳まで経営される。
72歳となる現在、高知県を元気にしたいという気持ちから、奥様と共に観光や文化の発信に力を注いでいる。