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「長期投資」の大先輩
繊維研究で生き残り、これからも世界の「衣」を支える

 

東レは繊維を祖業とし、創業以来培われてきた「有機合成化学」や「高分子化学」といった技術で発展してきました。「完成されたモノでも、さらに深堀すると、「深」が「新」となる。」同社はこの信念のもと研究開発体制を敷いており、成果に繋がるまで最低でも10年は許容しなければならない基礎研究に比重を置いていることが、同規模の競合と比べても非常に特徴的です。具体的には、研究者に対しての勤務時間中の自由裁量研究の奨励や、成果が出ない間も評価を可能とする体制などがそれを支えています。また、あえて同社は人智の分散を防ぐために、一般的には行われる付加価値を上げるための川上(原材料等)や川下(最終製品)へ向かうバリューチェーンの取り込みはせず、「材料」の開発・供給者(川中)としての生き様を貫いています。
産業革命以降、欧、米、日、中と技術移管され生産地が変遷してきた繊維産業の歴史の中で、覚悟を持った長期的な基礎研究で東レがガリバーとして残存し、そこから生まれた機能性繊維や炭素繊維が歴史を遡上して欧米で確固たる地位を確立した現在の姿を見ると、その長期投資の信念に胸のすく思いすら覚えます。

【アナリスト 斉藤 真】

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