アクティブファンド(以下、アクティブ)はインデックスファンド(以下、インデックス)に勝てないというのが定説だが、それは大きな間違いである。考えればわかることだが、対象指数に入る成長・衰退企業、時に社会的疑義のある企業を含め全てに投資するインデックスが、成長企業のみを選ぶアクティブに勝てるわけがなかろう。しかしそうはならず、世界的にインデックスに軍配が上がっているのが現実である。
何故そのような結果になるのか。よく言われるのがコスト(信託報酬)の高低だが、それは既成の結果論であって本質とは違う。その証拠に18年間も長期運用しているさわかみファンドは、コスト1%(税別)を差し引いても指数の一つであるTOPIXを137%も上回っている(さわかみファンド設定日基準/17年9月末現在)。ちなみにTOPIXは指数であり、インデックスはそこから0.2~0.5%の信託報酬を払わなければならないのだ。
インデックスはTOPIXなどの指数連動を目指す運用手法だ。機械的に運用するためアクティブのような調査費などがかからず、低コスト化を実現できる。但し、指数に投資するインデックスは上昇相場こそ謳歌できるものの下落相場が始まったら目も当てられない。無論それはアクティブも同様である。したがって、相場の波に付き合うなら少しでもコストを抑えた方が勝つというのが定説の所以なのだ。しかしそれはアクティブならではの機動的なアセットアロケーションができないという前提だが。
証券会社や銀行など販売会社系列主体の我が国は、販社が販売手数料を稼ぐために運用会社に一定期間毎に新しいファンドを設定させ、投資家顧客に乗り換えを推奨した。その結果、投資家顧客の平均ファンド保有期間は4年にも満たない状況である。過去20年を振り返ると、我が国の平均株価は数年毎に上昇・下落・停滞を繰り返してきた。したがって3年半というファンドの平均寿命は、株価動向の節目節目でその役割を終えることを意味した。
ファンドの新規設定時に大々的な営業活動をし、巨額の資金を集める。そしてその後の下落相場で投資家顧客が逃げていく。本来は下落時こそ最大の投資機会であり、運用者は投資家顧客と連動して果敢に買えていれば次の上昇相場で結果を残せたはずだ。しかし現実にはそうさせてもらえず、最大の買い場で投資家顧客の資金引き上げにあい、運用者は安値で株式等資産を売らされるのだ。他方、上昇相場では、世間は次こそは儲けようとファンドに資金を投ずる。そこは買い場ではないにもかかわらず、運用者は投資家顧客の資金を市場に投下せざるを得ない。そしてまた下落相場を迎え、元の木阿弥となる。ここでわかるのは、安定した運用成績には運用者と投資家顧客とが同調することが最重要だということだ。それが叶わぬが故に、アクティブはコスト分だけインデックスに劣ってしまうのだ。
さわかみファンドは、おかげ様で投資家顧客との連動がとれているため運用者の実力が出しやすいファンドだ。一方向に動く相場ではインデックスに勝てないものの、相場の節目を乗り越えるたびにインデックスとの差を広げられる。そしてそれがインデックスに大勝という結果に繋がっているのだ。つづく。
【代表取締役社長 澤上 龍】