2018年も、少しでも多くの個人・法人が
長期投資で明るい未来を築けるよう、
私たちは努力してまいります。
代表取締役社長
澤上 龍
本格的な長期投資で世の中をおもしろくしていこう。
世界には76億人を超える人間が生きています。その中に一人として同じ人間は存在せず、一人一人が人格を持ち、それぞれの人生を歩んでいます。年齢、性別、目や肌の色、家庭環境、そして性格は違いますが、76億人全てに共通するのが“ある日この世に生を受けた”ということです。統計によると毎秒2~3人が新たに生まれており、生きていく人間、亡くなった人間すべての存在・記憶が地球上に記され続けているのです。
企業は法人と呼ばれ、人格ある団体です。個人と同じように多種多様で、そしてある日この世に生を受けたことも同じです。違う点といえば、法人は理念をもって生まれるのがほとんどだということです。事業家が自らの夢を乗せ、企業としての存在が生まれるのです。されど生まれる際に、誰かの想いを受け止めているという点は個人も法人も変わりません。個人でいえば家族などであり、法人でいえば出資株主がそれにあたります。
企業が上場すると親ともいえる株主が変わります。上場を果たす以上、世界の様々な投資家に株式を所有されることは企業も覚悟の上でしょうが、しかしながら企業を稼ぎの道具としてしか見ない株主・投資家が大半、かつ短期間で変わる昨今、企業は誰を見て経営を進めればよいのでしょうか。それで、生まれた際の理念を実行できるのでしょうか。
さわかみ投信は、株価変動ではなく企業価値の成長に投資をします。長期で見れば、株価は価値を軸に振子運動をするものです。そのような振子に翻弄されるのではなく、価値の成長を綿密に計算し、想いを乗せて応援するのです。
価値とは何か。私たちは企業価値を相互に関係する三つに区分し、10年先まで予測します。一つ目は“財産”価値。企業が保有するあらゆる財産を指し、ゼロからその財産をつくるにはいくら必要かを試算します。二つ目は“収益”価値。向こう10年、どれほどの収益を上げるだろうかということです。企業は財産を用いて収益を上げていきます。そして収益を財産として蓄積していくものです。したがって二つは切り離されるものではありません。三つ目は“可能性”です。企業の持つ先見性、DNA、実行力、財産などから未来に対し何を成し得るかを考えます。実はこの“可能性”は非常に重要な要素です。
未来にどのような財・サービスを提供していこうかと努力するのが企業だとするならば、未来にどのような財・サービスを利用できるのかと希望を持つのが消費者です。生み出された財・サービスは個人の生活を豊かにするものです。豊かな生活のための個人消費は、それらを生み出した企業の収益となります。
私たちが提唱する長期投資「未来の世の中に必要とされる企業を応援投資しよう」は、可能性を実現できる企業かどうかを調査・分析し、そして事業家とともにリスクをとる行為です。可能性が花開くまで時間がかかるかもしれませんが、それまでの期間を楽しみながら待つことが長期投資なのです。
投資が財産形成の手段として一般の生活者の間でも広まってきましたが、残念ながら昨今の投資は未だ自らの稼ぎにしか視点が置かれていません。確かに自分の財産が殖えなければ投資の意味はありません。ただし自分の財産のみに着目した結果、企業の未来に対する可能性を阻害するような投資が世に跋扈するのは避けなければなりません。生活を豊かにする財・サービスがなければ殖えた財産の使い道もないのですから。
私たちは、企業とともに歩む姿勢で投資を続けてまいります。理念をもって生を受けた企業が未来を明るくすることを願い、企業とともに未来に対しリスクをとることで豊かな世の中を形成できる…長期投資は世の中づくりへの参加なのです。そしてリターンは豊かな未来から返ってくるのです。2018年も、少しでも多くの個人・法人が長期投資で明るい未来を築けるよう、私たちは努力してまいります。
一般生活者の財産づくりを長期運用でお手伝いさせていただく
「さわかみファンド」を、運用実績と顧客からの信頼で
世界一にしていこう。
さわかみ投信は、ともに長期投資を実践し、世に広める仲間を募集しています。私たちは受益者の皆様を“ファンド仲間”と呼ばせていただいております。多くの仲間とともに本気で世の中を明るく、おもしろくしていきたい。そして結果を出し、世界一の信頼を集められる会社・ファンドとなるべく日々励んでおります。皆様、長期投資の考え方に賛同いただける仲間をぜひともご紹介ください。仲間がいればこそ、世の中は加速的におもしろくなるのです。またファンド仲間という立場を越え、ともにさわかみ投信で働く方も随時募集しています。
お金は天下のまわりものである。
長期投資で得たリターンは、広く世の中にお返ししていこう。
さわかみ投信は経費節減に努め、余った利益のほぼ全てを豊かな世の中へとお返ししております。当社からはじまった“さわかみグループ”の社会活動について、これまであまり触れずにまいりましたが、今後は都度、長期投資の先にある世の中づくりについても紹介していきます。
本年もファンドの価値向上に向け、ファンドの運用力向上と長期投資の輪を広げるべく、地道に一歩ずつ前進していく所存です。
取締役最高投資責任者
草刈 貴弘
旧年は基準価額の最高値を更新し、多くのファンド仲間の皆さまから喜びの声をいただけたこと、大変嬉しく思っています。本年もファンドの価値向上に向け、ファンドの運用力向上と長期投資の輪を広げるべく、地道に一歩ずつ前進していく所存です。
さて、2018年も引き続き世界経済は堅調に推移すると思われ、企業の収益は成長すると考えられます。日本の株式市場も素直に反応するのではないかと考えています。企業は収益力が向上しただけでなく株主還元に積極的になっており、財務戦略の観点からも自社株買いなどを通じてプラスに寄与するでしょう。直近の株価に対して予想EPS(1株当たり純利益)が上昇すればPER(株価収益率)は下がることになり割安だと考える投資家が増え、さらに株価が上昇するということになります。他の先進国と比較して、その水準が低いということも上昇余地があると見られるでしょう。米国の利上げも緩やかに行われるでしょうから、経済は着実に成長を続けるが金利は低いままで物価も上がりにくい、それ故に株式や債券、不動産などの資産価格は安定して上昇するという心地良い状況は続く可能性があります。ですから、当面は集中投資とコミットの観点から企業の絞り込みを継続し、一方で今後世界の中で必要とされるだろう成長企業へ適切な価格での投資を進めていきたいと考えています。
人口動態の変化や、EC(電子商取引)の拡大、産業構造の変化などから、企業を取り巻く環境は激変しており新興国から出てきた仕組みがグローバルのスタンダードになり始めています。そういった変化の影響を受け、実は知らないうちに私たちの消費への考え方や行動が変わっていることを、過去の自分のそれと照らし合わせると見えてくると思います。既存の観念にとらわれず、そのような変化をおもしろがりながら将来のシナリオを紐解き、ポートフォリオの強化を進めていきたいと思います。
現在の市場環境は、多くの投資家の心理が強気であると感じます。米国では法人税などの減税や、新興国に加えて欧州や日本も堅調に経済は成長する見込みです。今のところ目立ったリスクとして考えられるのは地政学的リスクといったところでしょう。
しかしながら楽観するのは危険かもしれません。もちろん、さわかみファンドでは2015年以降に市場の急激な価格変動リスクを警戒し、慎重な見通しを強調しすぎていたと反省しています。結果的に想定とは違い、この数年間は株式市場が大きく調整することも無く着実に成長を遂げてきました。最も懸念されていた米国の利上げも、当局が市場と対話を続けたことで荒れることはありませんでしたし、中国株の下落もその他政治的なイベントも一時的な調整で終わり結果的にはチャンスでした。ただ、皆が楽観していることが一番危険なのです。
現在がバブルかどうかは歴史でのみ証明されますので今そうであるかは分かりませんが、細部では小さな泡がいたるところで発生しているようです。米国の減税では、それによる現金は自社株買いに回すことを多くの経営者が示していますので、労働者への分配はほぼないことを意味します。それでは需要は創造されず、格差は広がるばかりで実質的な経済成長は難しくなります。現在のS&P500種はcape ratio※で見ると30倍を超えており、100年内では1929年の大恐慌、2000年のITバブル以来3回目で、さらに上昇するとなると実体経済とかけ離れている状況とも考えられます。
資産インフレや財政悪化による金利の上昇が起これば米国の一般生活者を苦しめるだけの結果となるかもしれません。欧州でも金融政策の正常化へと進む見込みですので、そうなれば日本だけ異次元金融緩和を続けるわけにはいきませんので何かしらの調整が生まれるでしょう。中国においても金融への規制が本格化すれば、隠れ債務が明るみに出て成長が鈍化するかもしれません。中国、オーストラリア、カナダ、北欧の住宅価格は相当に高くなっており、バブルの懸念はぬぐえません。
本年はリーマンショックが起こってからちょうど10年。私たちは再びあの悪夢を繰り返さぬため、風林火山の如くその場の状況にしっかり対処し攻めと守りのバランスを意識し運用していきたいと思います。但し、市場は堅調に推移すると思われますので、基準価額最高値を更新ししっかりとした成長をファンド仲間の皆さまにお届けしたいと思います。