草 このように販路を広げることによって、将来性のあるとされる市場でのシェアを着実にとっていく。また、新しいニーズやウォンツに対して柔軟に対応できるように生産体制をちゃんと整える。生産体制がしっかりしているから、安心して営業が販路拡大できるという正の相乗効果が効いているのですね。御社のすごい所はM&Aで一緒になった会社も含めて強い販売網を構築し続けている点です。海外展開が成功している背景にはどういう工夫があるのでしょうか?
石 これは私の持論ですが、会社の「社風」とは、「チャレンジを怖がらないOSGのDNAの継承」と捉えています。それはOSGにとどまらず連結子会社60数社も共有共感すべきものです。社風の浸透には、子会社の経営目標とゲームプランを見える化させることが重要であると考えています。これをOSGでは予算会議という仕組みで実践しています。私は毎年9月~11月にグループ会社の社長全員に会います。予算会議では数字だけにこだわっているわけではありません。こだわっているのは政策、つまりゲームプランの見える化です。一緒に食事をしながら、そのやり方で本当に実現できるのか?その子会社にはそれを実践できる人材やチームが存在するのか?等を対話を重ねることで確認します。もしチーム力が不足しているのならば、人がいないからなのか、それとも人を育成する努力を怠っているからなのか?ということを子会社の社長に気付かせることで、OSG流のチャレンジを怖がらない社風を浸透させていきます。
当社には幸いにして、コミュニケーションを非常に大切にする文化があります。どんな場合にあってもコミュニケーションをとっているから、目標や見える化した課題が夢物語か現実か判断することができるのです。グループ会社の経営がきちんと見える化されていれば、細かいところに口を出したりはしません。最近新しくM&AでOSGのグループになったスイスや南アフリカの幹部は、「OSGはなんという会社だ。なぜこんな風にみんなで仲良く酒を飲んでいるのか?」と非常に驚かれます。
世界中に分散するグループ会社の方とOSGの社員が時間を共有して、同じ目線に立って話をすることを心がけることが強い組織の維持に繋がっていると思っています。
草 伺わせていただくたびに、強固だというイメージがどんどんOSGという会社にはついていきますね。最後に、常に向上しようとする御社の姿勢はどこから来ているのかを教えてください。
石 例えばもう一つ大事な社風として、悔しがる社風があります。目標を達成できなかったら悔しがらなくてはいけません。「目標を達成できなかった時には素直に悔しがる」のがOSG流だということを社員にいつも言っています。悔しさも成長の源泉になります。扱っているのが切削工具ですから、常に自分たちが成長していくよう努力を続けないと、すぐ陳腐化して、巷にはコピー製品があふれてしまいます。
私は、常に現地に出向いて、自ら現場・現物を見るように心がけています。現地現物を見て、直接刺激をもらいながら、そこで生まれるひらめきを大切にしています。OSGの他の役員も世界中を飛び回っています。彼らも実際に見て感じた上で世界観を持っているので、それも非常に心強いです。自分が何でもかんでも行う必要はありません。そうやって、みんなで得意なところを補完し合って進んでいく、そんなところがOSGの良いところではないでしょうか。
オーエスジー株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
石川 則男 様
昭和53年オーエスジー株式会社入社。昭和58年OSG Tap and Die,Inc.(現OSGUSA)出向後、平成7年に副社長就任。平成11年OSG Europe S.A.取締役社長就任。平成19年代表取締役社長兼COO就任。平成 29年代表取締役社長兼CEO(現任)就任。