今後のサンバイオの展開
草 現在SB623は外傷性脳損傷と脳梗塞をターゲットにしていますが、これから先の可能性はいかがでしょうか。今後高齢者の人口も増えるので、認知症など脳に関する課題というのは増えていくと思われます。そうなるとSB623で解決できる箇所というのも膨大になるのではないでしょうか。
森 まず慢性期外傷性脳損傷と慢性期脳梗塞を進めていきます。認知症については先日発表しまして、これから取り組んでいきます。岡野先生とSB623の認知症での可能性を追求していく研究を始めていくところです。他にもアルツハイマー、パーキンソン病、脊髄損傷、脳神経の一部である網膜の再生もあります。認知症以外は動物試験で効果の確認が取れていますので、どんどん進めていこうと思っていますね。
草 他の分野への進出ということも考えていらっしゃいますか。
森 現在、当社の製品パイプラインの中に二つあります。一つは炎症を抑えるような作用のあるSB618、もう一つは筋肉を再生するSB308です。まずは、こういったところを追求していきたいと思っています。他にも患者さんの困っているところはたくさんあり、その中に細胞で治せるところは本当にたくさんあると思うので、当社の強みを生かして貢献していきたいですね。
草 これから先もさらに面白くなりそうですね。再生医療で社会貢献して企業価値が大きくなると、産業として雇用も増えるし、研究開発を加速するとさらに多くのことが見つかり、研究開発する人の能力も上がります。社会貢献をしながら企業価値も上がり、世の中もよくなっていくという三方よしなビジネスですね。
森 ありがとうございます。今までは研究開発のところに特化してやってきていましたが、ここからは、日本での自販体制というのを真剣に考えています。自販をすると、患者の方、ドクターの方と非常に近くなるので、フィードバックを得てまた製品開発に活かすというループができ、様々な可能性がさらに広がってくると思い、注力分野の一つとしています。対応する疾患を増やし、販売するエリアを増やす。そしてバリューチェーンとしても上流の研究開発から、現場である医療現場への自販というところまで収益源として見ています。
草 これからの日本は、団塊の世代が75歳以上になる超高齢社会を迎えます。認知症や脳梗塞を治療する可能性を秘めた再生治療薬によって、大きな社会的価値を生み出していただきたいと思います。是非頑張ってください。
サンバイオ株式会社
代表取締役社長
森 敬太 様
1993年東京大学大学院農学系研究科農芸化学専攻修士課程修了後、麒麟麦酒株式会社入社。1999年カリフォルニア大学バークレー校にてMBA取得。2001年米国シリコンバレーにてSanBio,Inc.設立。有効な治療法が存在しないアンメット・メディカル・ニーズの高い中枢神経系疾患を中心に再生細胞薬の開発を進めている。