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株式会社ダイセキ 関東事業所外観

▲株式会社ダイセキ 関東事業所外観

 

株式会社ダイセキ
関東事業所第三工場(栃木県佐野市)

産業廃棄物のリサイクル事業や土壌汚染調査・浄化処理など循環型社会の実現に貢献しているダイセキ。今回は工場から出る廃油・廃液をリサイクルしている関東事業所第三工場を見学してきました。

 

 

12:20 JR小山駅集合

貸切バスで、関東事業所へ向かいました。バスの中では、担当アナリストの加地より、ダイセキの歴史的背景や社会的意義、今後期待していること等についてをお話いたしました。

 

13:35
社長・ダイセキ社員よりご説明

柱社長にダイセキの歴史を中心に会社説明を、また、安永所長、市川管理課長より、事業内容および関東事業所についてご説明をいただきました。

14:30 工場施設見学

廃油処理工程を中心に処理方法のご説明をいただきました。不純物を取り除く工程については、ビーカーで分かりやすくご説明いただきました。(写真のビーカーは、酸化銅と水分が分離した状態。)




15:30 質疑応答

「震災のときの当社の取り組みは?」
「海外にもリサイクルのニーズがあると思いますが、海外進出の予定は?」
等、参加者から多数の質問がありました。
ツアー終了後の懇親会では、ダイセキ様も出席いただき、こちらも大いに盛り上がりました。


 

ダイセキを支える実績と信頼の歴史

晩秋の様相が深まる11月10日、私たちはファンド仲間の皆様と共に、産業廃棄物リサイクル企業である株式会社ダイセキ(以下ダイセキ)の関東事業所第三工場を訪問しました。第三工場は栃木県佐野市に在り、周囲には紅葉した山々がそびえています。当日は天候にも恵まれ、私たちは秋晴れの空の下で工場設備を見学し、ダイセキ柱秀貴社長はじめ社員の皆様からお話をお聞きすることができました。
第三工場は、関東地域におけるダイセキのメイン工場として位置づけられています。ここでは、廃油や廃液を浄化し、リサイクル燃料やセメント材料にリサイクルしています。また、第三工場から出る排水の一部は利根川に直接流れています。利根川の水を上水道に利用する東京都水道局の厳しい基準を、問題なくクリアするほどの浄化技術を備えています。
工場施設の見学では、廃油から重油と不純物を分離する装置や、廃液を金属と水に分離する工程を視察しました。銅が溶けた青白い廃液に薬品を注入すると、やがて青い固体の酸化銅と透明な水に分離する様子を見て、参加者の皆様は驚きの声を上げていました。また、天災に見舞われても有害物質を含んだ廃油や廃液が工場の外に漏れださないよう、工場のタンクの周りには漏洩防止壁を築き、もし壁が壊れても地下のタンクに流れ込む仕組みになっています。2011年3月の東日本大震災でも、廃油や廃液の流出は全く発生しなかったそうです。産業廃棄物処理業者として周辺地域の安全に責任を持ち、二重三重の工夫を凝らしていることに、参加者全員が感銘を受けた様子でした。
工場見学の途中で、震災当時の第三工場の取組みについても教えていただきました。震災発生時には、ダイセキ関東事業所と千葉事業所が中心となって被災地域の救援に当たりました。震災では被災地域の工場から重油等の有害物質が流出する事態が発生しましたが、ダイセキはこのとき、油の回収やオイルフェンスの設置、油吸着材や中和剤の配布、工場現場の洗浄作業により被害の軽減に貢献しています。天災時には一斉に被害が広がるため時間との戦いを迫られますが、社員総出で事態の回復に取り組んだといいます。2016年の熊本地震や今年の西日本豪雨でも、現地のダイセキ工場が拠点となって被災地域の救援に当たりました。ダイセキは普段は産業廃棄物のリサイクル事業を営んでいますが、このように緊急時には環境汚染の拡大を防ぎ、工場の復旧を支援する契約(BCP)を多くの企業と結んでいます。

工場見学と併せて、ダイセキが産業廃棄物リサイクル企業としての実績と信頼を築いてきた歴史を、柱社長に語って頂きました。そこには、激動の昭和史の変遷が大きく関わっています。
ダイセキは、大正4年に三重県で生まれた伊藤治雄という商人が創業しました。伊藤氏は少年期を髪飾り職人の下で丁稚奉公をして過ごし、戦中期には手先の器用さを活かしてバネの製造会社を立ち上げます。ここで作ったバネは、戦闘機の機銃の弾送りなどに用いられました。太平洋戦争末期に空襲で工場設備を全て失いますが、日本がモータリゼーションの時代に入る昭和25年に、伊藤氏はガソリンスタンドを立ち上げて再起します。やがてガソリンスタンドが乱立するようになると、油の販売会社から、リサイクル油を作る「メーカー」へと転身を図りました。この転身が、産廃リサイクル企業としてのダイセキの出発点となりました。
やがて日本が高度成長期の時代を迎えると、その暗部として公害問題が日本各地で発生します。重化学工業地帯として栄えた名古屋でも、工場の廃油、廃液による海洋河川の汚染が深刻な問題になっていました。昭和45年に廃棄物処理法が制定されて産廃処理が許認可制となると、ダイセキは名古屋における登録業者第一号となり、産廃処理の専門家企業としての地歩を固めるようになりました。
昭和60年代には産廃処理業者としてトップグループの一つとして認められていましたが、周囲から「ゴミ屋」と言われるなど、心無い言葉も受けたそうです。社会に貢献していても企業イメージが悪く社員の離職率も高かったことが、成長に対する大きな障害となっていました。これを覆したのが平成2年にダイセキに入社した柱氏が中心となって進めた上場でした。平成7年に株式店頭公開し、平成12年には東証一部に上場します。上場によって取引先からの信頼が高まり、社員が仕事に誇りを持つようになったそうです。

今では、ダイセキは工場の廃油・廃液のリサイクルを行う「ダイセキ」、土壌の汚染調査・浄化処理を行う「ダイセキ環境ソリューション」、潤滑油の製造・石油製品の販売を行う「北陸ダイセキ」、鉛バッテリーのリサイクルと鉛精錬を行う「ダイセキMCR」、石油タンク等の洗浄や付帯工事を行う「システム機工」、廃石膏ボードのリサイクルを行う「グリーンアローズ中部」、「グリーンアローズ九州」のグループ会社で構成される、売上高491億円、営業利益87億円企業となっています。(18年2月期)
そして将来のビジョンとして2030年度をめどに売上高1500億円、営業利益250億円を目指す意気込みを柱社長に語っていただきました。ダイセキは今後リサイクル工場数を増やし、現在は焼却処分しなければならない廃棄物もリサイクルできる技術を確立することで、より多くの付加価値を創造する道筋を立てています。

本ツアーはダイセキ社長の柱秀貴様、関東事業所所長の安永辰弥様をはじめ、多くの社員の皆様のご協力によって執り行うことができました。ツアーを通して参加者の皆様には、産廃リサイクルの現場を訪れ、ダイセキの歴史と将来に向けたビジョンを知って頂くことで、日常では目にしないダイセキの事業が循環型社会の実現に貢献していることを理解いただけたと思います。
【アナリスト 加地 健太郎】

 


参加されたお客様の声

●仙台の復興に力を貸して下さってありがとうございます。数年前まで仙台市民でした。健康で快適に生活できるのは御社のような存在あってこそなのだと実感いたしました。

●初めて参加しました。便利で快適な生活が送れているのはなぜなのか、その具体例を見せて頂けたと思います。

●ダイセキが大好きになりました。さわかみを通してこんな素晴らしい事業に投資できていることが嬉しいです。

●限られた資源を有効活用する取り組みに感銘を受けました。さわかみ投信が応援したいのがわかったような気がする。益々の繁栄を願っています。

●資源が枯渇する中、ダイセキ様の存在はこれからも不可欠だと思います。引き続き今の取組みをしっかりと続けていただきたいと思います。

●今まで全く存じ上げませんでした。BtoCではないので、直接購入、利用することはありませんが、間接的にはどこかでお世話になっておると思います。これからも鋭意努力され、日本の環境の為にもがんばってください。

●今回小学生以来の社会見学という気持ちで参加させてもらい、いろいろな見学やお話を伺ったことで刺激をもらい、また初心に帰ることができました。またこのような機会があれば参加したいと思います。


ツアー事務局後記/管理部 金高

今回の企業訪問では、熊本地震でのエピソードが紹介されました。ある飲料メーカーさんから地震で貯蔵用タンクが破損したため緊急に回収してほしいとの依頼があり、ダイセキが対応したことで先方の工場の操業停止を防ぐことにつながったそうです。操業停止となればその被害額は巨額になることは容易に想像できます。そしてその事態を防ぐことに協力したダイセキへの企業からの信頼はどのようなものになるか、これもまた容易に想像できると思います。
現在もHPには緊急時ヘルプラインを掲載し、24時間対応の体制をとっています。24時間対応は、社員の方も大変だと思いますが、お客様に喜んでいただくことで『やりがい』や、『仕事に対する誇り』にもつながるとのお話をお聞きし、お客様と良い循環を作っておられることを感じました。
顧客との信頼関係は、現在の財務諸表に書かれることはありませんが、将来の財務諸表へ反映されると思います。ダイセキのサービスは私たち個人消費者の目に触れることはなかなかありませんが、しっかり社会を支えてくれる会社であることを知っていただけたと思います。

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