現在の金融市場は、米国の株式市場と景気に引っ張られる形で底堅く推移しており、実体経済も同様です。日本の株式市場においては、企業収益に対してむしろ評価が低いのではという意見もあります。確かにこのままの状況であれば、それほど悲観することは無いようにも思えます。
しかし忘れてはならないのは、目の前には米中の貿易摩擦や英国のEU離脱といった政治的な問題を世界は抱えていることです。さらには、リーマンショック後の反省として作られた規制を緩和するほどに、現在の金融市場は楽観を突き進んでいるとも言えます。これまで中央銀行によって注ぎ込まれた巨額のマネーが貪欲に市場を覆いつくし、楽観している状況の中で新興国の過剰債務、ジャンク債への過剰投資、シャドーバンクなどなど、様々な泡がブクブクと生まれ大きな泡(バブル)になることに拍車をかけるかもしれないのです。
バフェット氏は「引き潮になった時、初めて誰が裸で泳いでいたか分かる」と言っています。この“初めて”というのがミソで、起きてからでないと気づかないということなのです。ですから、私たちはきちんと水着を着用して次の引き潮に備えつつ、今の潮流にも乗れるよう舵取りをしていきたいと思います。
【取締役最高投資責任者 草刈 貴弘】