先月に続き「なぜ直販か」というタイトルでお話しします。
早速ですが、前回のコラムで私はこう述べました。
「投資信託の運用は、運用方針(ポリシー)を理解してくださっているお客様との二人三脚によって、より良い運用が可能となる」
これは大変重要なことです。財産づくりにあたって、一度の大博打で財産を築こうとしてもそれは不可能です。そのため長期にわたって手元の資金を運用し、継続的に増やしていける仕組みが必要となります。その仕組みである投資とは、本来安く買って高く売るというシンプルなものであるにもかかわらず、それがうまくいかない人が多いのはなぜでしょうか。その理由のひとつに株価に振り回されてしまうことが挙げられます。
世の中では、個別の株式にしても日経平均株価にしても、下がると慌てる人・記事を目にします。そして目先の値動きに振り回され、落ち着いたときには一連の精神的疲労に嫌気がさしたという声を聞きます。しかし株価の産みの親である企業自体は、市場で株価が下がったとしても即座に生産活動が止まることはありません。むしろその企業で働く人々はなぜ株価が下がるのかわからず不安になる場合もあるでしょう。
株価とはそういうもので、まったく関係ないとは言えませんが、本業とは別の理由で値動きすることが多々あります。英国の研究者の発表でも、長期的に株価は業績に伴って推移していくが、短期の値動きについては理由の大半が不明であると実際に言われています。目先の株価に振り回されず長い目線で企業を見守る姿勢が肝要です。
特に長期投資では、その時点では不納得の中での行動となるため、世間から見たときになぜこの会社に今投資するのか、ということもあります。ファンドの作り手(運用会社)がどのような考えや思いを持っているのか直接お伝えすることで、一時の不安や迷いが払拭され、形式的な理解をこえた信頼と安心につながり、長期的な財産づくりを可能にする直販を貫いてきました。このようなレポートやアナリスト勉強会をはじめとする年数百回におよぶセミナーは、株価の先にある企業努力などをファンド仲間と共有し、暴落時もともに乗り越えようと声を掛け合い、今年の8月には20年目を迎えられるまでになりました。
さて、次号では今回少し触れた長期投資についてお話しします。世の中で言われる長期投資と何がちがうの?という質問を時折いただくのでお答えしたいと思います。
東京は6月8日ごろに梅雨入りするそうです。前号でお話した紫陽花は、都内ではこれから楽しめそうですね。今回ご紹介したアナリスト勉強会は毎週金曜の午前中に本社で開催しておりますので、皇居周辺の紫陽花を楽しむのもかねて、よろしければ是非お越しください。