走りの愉しさと安全・安心が商品の魅力の源泉、ブランド価値を尊重する経営で高収益を実現
急成長の歪みが業績に影を落としたが、真摯な反省に基づく改革を進めて巡航速度へ回復を目指す
SUBARUの起源は戦前の中島飛行機であり、今もボーイング社の航空機の中央翼や自衛隊向けのヘリコプターや練習機の製造をしていますが、現在では売上と利益の9割以上が自動車になっています。さわかみファンドには、今年の2月に2008年以来11年ぶりに組入が復活しました。航空機由来の水平対向エンジンに四輪駆動技術を組み合わせたユニークなクルマづくりは元々高く評価されていましたが、近年は「アイサイト」(衝突被害軽減ブレーキ)に代表される先進安全技術の積極的な商品化とSUVブームに沸く米国市場での大躍進によって、台数・売上高・利益が大幅に伸長しました。
但し、その一方で完成検査工程での不適切な取り扱いや品質問題による大規模なリコールといった急成長の歪みが生じて、足元の業績や株価に影を落としています。私たちは、現場視察や取材などを通じて、SUBARUが一連の問題に対する真摯な反省をもとに、経営体制の刷新を含む改革を進めており、業績はいずれ巡航速度を回復するとみています。
自動車業界では、コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化といった「CASE」領域の先進技術開発が待ったなしです。SUBARUは「アイサイト」はじめ自前の先進技術に磨きをかける一方で、2005年に業務提携合意したトヨタ自動車との間では、スポーツカーの共同開発やトヨタのハイブリッド技術のスバル車への活用など協業を重ねており、この6月には、次世代電気自動車のプラットフォーム開発やそのプラットフォームを活用した小型SUVの共同開発を公表するなど関係を一層深めています。
【シニアアナリスト 吉田 達生】