9月号にて金融庁の取り組みを背景とした共通KPIについて触れました。今月はその図を参考に、さわかみファンドの保有経験が主に短い方々にお伝えしたいことがあります。先月掲載した図を簡素化し、プラスまたはマイナスの2つに色分けしたのでご覧ください(上図)。
保有期間が長いほど利益の出ているお客さまが多く、長期の投資運用の底力が見て取れます。そのため昨年、2018年度版の共通KPIの図を掲載した際、お客さまから「家族に説明しやすいデータが手に入った!」などのありがたいお言葉をいただきました。また、さわかみファンドの保有が比較的短い方(概ね5年未満)からは時折、次のような声をいただいていました。
「取引が長いファンド仲間は基準価額が低い頃に投資できていて羨ましい」
「タイミングを見て買おうと思ったら基準価額が高くなってしまった。定期定額購入でずっと買い続ければ良かった」
確かにその通りです。だからこそ投資のタイミングは計りすぎることなく、余裕資金は早めに投資にまわすことがおススメなのです。しかし続いてこのような質問をいただきました。
「最近マイナスなので不安になって積立をやめました。どうやったら図の方たちのようにプラスになるのでしょうか?」
質問を受けた際に私は少し混乱しました。なぜなら基準価額が下がった時に買う必要性を理解されていながら、マイナスが続いているためお買付をやめてしまうという、一見相反するご質問だったからです。踏み込んで伺うと様々な気持ちが入り混じっていることがわかりました。
・一般的には5年も同じ商品で運用するのは長期だが、それでもマイナスなのはファンドを選び間違えたのではないかという不安
これらは間違っていませんし、すべてのファンド仲間が長期航海で経験する過程です。図はあくまでも2019年3月末時点の情報であり、この時点でプラスのファンド仲間もマイナスを経験されてきた上での今の結果なのです。相場全体が大きく下がれば、マイナス(赤色)となるファンド仲間は当然増えます。「ならばその時に買うべきで、現在は割高ではないか?」というご質問が出ますが、そんなこともありません。もちろん、お客さまの財産づくりのためには暴落時にしっかり買うことは重要ですが、それは今買わないでよいという話ではないのです。そもそも何をもって安い高いというのかといえば過去と比較するからですが、これは時に判断を歪めてしまいます。投資信託には割安・割高という概念がありません。そして長期的には値上がりしていくと信じているものの、投資自体が未来(値動きがわからないもの)へお金を投じているため短期的には今が安いか高いかはわからないものです。2025年から今を振り返ると安かった!という可能性も十分あります。
だからこそ長期投資は、一時的に株価が市況に左右されたとしても、社会に必要とされるしっかりとした企業へ投資をするのです。そして暴落を乗り越えながら基準価額の上値と下値(下図)を切り上げていき、ファンド仲間の皆さまがいつ売ってもプラスになるような結果を目指すのです。
9月号の図3をパッと見ると大半のファンド仲間がプラスのため、現在マイナスだという方は不安になったかもしれません。しかし今回の図1の通り、短期的には特にマイナスになりがちですが、長期投資の結果はいつか返ってくるものと信じ、安心して投資いただければと思います。
【直販部 中津】