現在の金融市場は異常事態です。世界中でマイナス利回りの債券残高が17兆ドルを超えるといわれており、いまだに緩和を続ける日銀とECBはもちろん、FRBも金融緩和へと動いています。日本や欧州では金利が下限とされたゼロをすでに下回り、ドイツ国債に至っては10年以上の長期債においてもマイナス金利となっています。反対に株式や債券といった金融資産、不動産などの価格は上昇しています。これほどまでに緩和を続けても経済成長率はリーマンショック前には戻らず、物価も低迷したままで、それ故に金融緩和もやめられないという悪循環が続いてしまっています。1971年ニクソンショックでドル金本位制、ドルとの固定為替相場制度が崩壊して以降、各国の中央銀行が金利とマネー供給で経済をコントロールしてきました。そしてそれがここにきて効果も手段も失い始め、ばらまかれるマネーは資産価格に吸い込まれ、上昇を後押ししているだけになっているのです(図6)。この循環(ループ)はいつまでも続くことはできないので、そのうち逆回転を起こし大きな調整が起こるはずです。それは今すぐにではないものの、はじけるのは突然。今の風に合わせつつ、その嵐を迎えるべく準備をし30年目へ航海を進めていきます。
【取締役最高投資責任者 草刈 貴弘】