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▲関東工場正面(千葉県建築文化賞を受賞した美しい建物です)

 

沢井製薬株式会社
関東工場(千葉県茂原市)

約740品目を年間110億錠以上を生産し、ジェネリック医薬品業界をけん引している沢井製薬株式会社。
今回は同社・関東工場を訪れ、安定供給を実現する最新鋭の製造ラインを見せていただきました。

 


【ツアーの流れ】

13:15 茂原駅集合、出発
13:30 沢井製薬関東工場到着
13:40 事前説明

 

 

14:10 工場見学

▲フロービンシステム
人手を介さずダイナミックな動きで製造が行われます

▲スタッカークレーン
工場内の輸送は全てスタッカークレーンが行います

 

15:40 質疑応答

「沢井製薬では、工場見学会に来られない方も類似的に見学ができるようVR動画「ジェネリッQ~工場で6つの秘密を探せ~」を公開しています。みなさんぜひご覧ください。

www.youtube.com/watch?v=pmUyZ4g1kz0


【Analyst Report】

高品質なジェネリック医薬品の
安定供給を実現する最新鋭の製造ライン

▲企業訪問後、参加者のみなさんと

ツアーの発端 

昨年の「さわかみファンド」運用報告会(横浜開催)におけるアナリストツアー※1で、同社の強みの一つとして「多品種少量生産を低コストで回す生産体制!」と声高々に説明しました。「でも正直、まだ見たことがありません」と呟くと、すかさず同社の展示ブースから「じゃあ、見に来れば⁉」と声を掛けていただき、同社初の個人投資家向け工場見学会へと発展しました。
同社はジェネリック医薬品※2業界のリーディングカンパニーで、全国7ヶ所に工場を持ち、現在、約740品目を年間110億錠以上生産しています。これだけの品目数を低価格で安定的に供給するには、その製造工程でいかにコストを低減させるかにかかっています。ツアーでは、工場の自動化・省人化の現状に焦点をあてて見学を行いました。

※1~毎年開催される『さわかみファンド』運用報告会ではアナリストが参加者の方々と担当企業様のブースを巡るツアーを催行しています。
※2~ジェネリック医薬品(後発薬)とは、先発薬の特許満了後に同じ成分・薬効・安全性を持つ薬として厚生労働省に承認され、提供される薬です。

最新鋭の固形製剤工場
8月29日、当日は快晴。茂原駅に集合されたファンド仲間27名の皆様とタクシーで関東工場に向かいました。ここは東日本の同社主要生産拠点です。敷地面積は135,857㎡と東京ドーム3個分弱の広さがあり、現在、工場関連用地として使用しているのはその約半分です。今後、需要が増大した場合でも生産設備の増強を図れるようになっています。敷地内にはシリンジ(注射剤)棟と内服用固形製剤を生産する製剤工場(2013年竣工)があり、今回のツアーでは後者の工場を見学しました。
到着後、分かりやすい工場概要・製造工程の説明を受け、事前準備がしっかりできました。見学は3つのグループに分かれて行いました。錠剤の製造工程に沿って、原薬と添加物(製剤化を容易にする結合剤や服用後の溶出時間を調整する成分や苦みを抑える糖分など)を混合し、サラサラの粉状に造粒・乾燥、整粒を行います。その後、細粒をおよそ1tの力で押し固める打錠という工程を経ます。次に錠剤を光や湿気から守るコーティングを施し、その表面に薬剤名等の印刷をします。その後、検査をパスしたものを包装し、一定量毎に段ボールに箱詰めをしてパレットに積み上げます。こうした製造工程のほとんどが機械とロボットによって正確に行われています。
この製剤工場では、2つの重要な技術が導入されています。1つは「MES」と呼ばれる製造実行システムで、製造工程の状態把握や管理、作業者への指示や支援を行います。もう1つは「フロービンシステム」という同社初の高度な製造エンジニアリング技術です。この技術は、いかなる不純物も製剤に混入させまいと「人と機械の動線を分離する」ことを可能にしました。原材料や錠剤を搬送するステンレス製容器(フロービン)の工場内輸送は全てスタッカークレーンという装置が自動で行い、製造工程毎に当てがわれた部屋や完全自動倉庫の間を行き来します。倉庫は1階から5階まで鉄柱が張り巡らされ、MESの指示に従って動くスタッカークレーンがフロービンを適正なタイミングで適正な部屋へ搬送します。上下左右スムーズに動く様はSF映画の未来工場さながらでした。この他にも各部屋へ異物が混入しないように、人や機械の出入口では気圧差を利用して空気の流れをコントロールしていました。
以上のような最新鋭設備と効率性や安全性を高めるための不断の努力が、同社の高品質な医薬品の安定供給と収益を支えているのだと実感しました。

本格的な投資家と企業の対話
見学後のQ&Aセッションでは、私たちが質問の口火を切ろうかと動く間もなく参加者の方々から手が上がりました。それぞれの質問に関東工場の金榮工場長はじめIR担当の髙良様、横山様より丁寧で詳細な回答をいただきました。すべてのQ&Aを添付したいくらいですが、紙面に限りがあるため幾つかトピックスをご紹介します。この工場で製造している品目数(150品目)や災害などで万が一製造できない場合のBCP対策(他工場で代替製造可能)、ビジネス展望、今後の業界編成、ジェネリック医薬品を選択する方法は?…などがありました。
同社初の個人投資家向け工場見学とその後の直接対話により、参加者の皆様には同社への理解と信頼を深めていただけたことと思います。「沢井さんのジェネリックをお願いするにはどうしたらいい?」という声が何よりの証と感じました。
今年同社は創業90周年を迎えられ、100年企業へと前進を続けます。2017年、傘下に加わった米国子会社にも日本の製造技術と体制を徐々に浸透させ、日本以外の「患者さん」のためにも一肌脱いでいただきたいと思います。
最後になりますが、今回のツアーのきっかけ作りから実際の見学会・対話会に至るまでご尽力いただきました沢井製薬の皆様に感謝申し上げます。

 

【アナリスト 大澤 眞智子】

 

 


参加されたお客様の声

●大きく躍進している会社であるという印象をもちました。今後も環境や社会貢献に意を注いでいただき、更なる躍進をしていただきたい。

●ジェネリックは開発費が少なく、安くできると思っていましたが、それだけではなく、省力化・自動化によってコストを軽減していることが分かりました。これからも「何よりも患者さんのために」の理念の下、高品質、低コストの薬の供給に頑張っていただきたいです。

●多品種を効率よく大量生産している最先端の工場を見学させていただき、ありがとうございました。世界一のジェネリック医薬品会社になってもらいたいと思います。

●素敵な機会の提供をありがとうございました。普段接点のない工場見学により、どのように薬が作られているのか理解できました。とても親切なご対応ありがとうございました。

●投資先企業理解の役に立つので良いと思います。個人投資家単独では、なかなかこういう見学は出来ないので、こうした機会はありがたいです。

●当ツアー前の沢井製薬の企業イメージとツアー後の企業イメージが格段に良くなりました。安心、安全、清潔、信頼感が増しています。医薬品を作る工程等は普段全く見ることが出来ないので、非常に興味深く拝見させていただくことができました。ファンドに組入れている会社が特に骨太な会社、安定的に成長をしている会社だと思いました。

●製薬会社の工場は初めて見ました。ジェネリック医薬品の製造は多品種に渡るということでした。少なく、たくさん製造するための工夫・努力がたくさんあると思いました。


ツアー事務局後記

今回の企業訪問ツアーも募集人数に対して2倍以上のお申し込みをいただきました。千葉での開催ですが、群馬や栃木から片道3時間以上かけて参加いただいた方もいて、改めてファンド仲間の期待の高さを感じることができました。当日は快晴の中JR茂原駅に集合。手配していたタクシーがなかなか来ずに焦りましたが皆さまから大丈夫だよと優しい声をかけていただき、本当にありがたかったです。地元から参加されたあるファンド仲間から、「初めて工場に入ったけど、安全に医薬品が作られているのを見て本当に誇らしい」とのお言葉がありました。投資家と企業が一緒に社会を作っていることを実感できる瞬間でした。そしてその中に実際に投資を行う私たちさわかみ投信も関わっていることで、改めて責任と仕事へのやる気がでてきます。これからも投資先企業をもっとファンド仲間に知っていただき、各企業のすごさを感じていただけるように開催してまいりますので期待ください。

(管理部 金高 由典)

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