先日の勉強会で、「若い人には申し訳ないけど、日本の発展が期待できない中で、今後の投資方針についてどのように考えているのか?」という質問がありました。投資方針は別の機会にお話しするとして、今回取り上げたいのは前半の部分です。実は10年ほど前にセミナーで「最近は草食系とか言って欲がない若者が多いよね。これじゃあ日本は元気にならないよ」という言葉をいただいて以降、“若者”フレーズが登場するたびにモヤモヤしていました。折角このようなコラム欄をいただいているので、私の考えをお伝えしたいと思います。
~前提条件を疑うこと~
日本の発展は期待できない、欲がない若者が多い…
果たしてそうでしょうか。前提条件を設けることで変数が減り、考えやすくなりますが、思考停止に陥ったり可能性を失うこともあります。よくある例で、「投資を始めたいけど資金がない」という声がありますが、出費の見直しや所得を増やす手段を見落としていることがあります。時折“そもそも…”から考えてみることも大切です。
日本の発展は期待できない、欲がない若者が多い…
もしそうだとしたら、それはなぜでしょうか。他国と比較して劣後している点や、高齢化社会に悲観的になる方がいらっしゃいますが、発想を変えてみると問題が見えているということは、変えられる可能性があるということです。そう考えると、まだまだ我々にできることがあるような気がしませんか?
いつの時代も何かしらの悲観・不安はあるのでしょうが、自身が住む国を良くしたいのは誰しも同じはず。ならば、それぞれができそうなことを動いていけば、今よりもおもしろい世の中になります。少なくとも自身の周りに良い変化が起こります。
~年齢は関係ない、と考えたい~
上記のような話を母にすると、「あなたは若いからそういう考えができるのよ」と言われます。ただその母もまだ50代、やれることは何でもありますし、“そもそも”年齢はどれほど関係あるのでしょうか(母よ、題材にして申し訳ない!)。
具体的に行動を起こそうとすると年齢に応じた悩みがあると思いますが、行動できないことはありません。60代で夢のサロンを開いたファンド仲間、90代で俳句を始めた日野原先生、自身のやり方が正しいのか、迷いながらいろいろなNPOに参加してみた20代の私、どの年齢でもできることはあります。新たなことだけが大事とは言いませんが、守りに入ってしまうと視野を狭めがちで、その結果自身の可能性を見落とし気づかないまま窮屈にしてしまっていることがあります。
人生100年時代と、金融機関は声高に叫びますが、お金の問題が解消すればOKではないはず。国立がん研究センター中央病院の先生が本にこのようなことを書いていました。「人は死の直前になって、自分の人生を生きていないことに気づく」と。生きることだけが目的となってはもったいない!
若者の欲の話に戻り、少なくとも私には欲はあります。長期投資と出会って、そして自立して堂々と生きるファンド仲間と出会って、私自身のお金に対する考え方が大幅に変わりました。単なる物欲ではなく、自身のポリシーをもって選ぶ(使う)楽しさを知り、そのうえでお金に対する不安も長期投資で拭えてきたのもあり、意思を持った欲というものが生まれました。購買欲がないから経済は回らないのか、それとも余裕がないから購買欲がわかないのか、どちらが先かはわかりませんが、その問題点を語るより、私は良い意味での欲深さを持てる社会に変えたいと思います。【直販部 中津 圭博】