長期投資の運用をするには、マーケットや相場とはつかず離れずの立ち位置を守る。その上で、将来に向けて価値が高まっていくであろう投資対象が、大きく売られて安い時には買い、高くなってきたらすこしずつ売り上がっていく。このスタンスとリズムを大事にし、とにかくマイペースでいこう。
それに対し、古来からマーケットや相場は上へ下へと変転きわまりない。株価などを押し上げたり下げたりするのは、人間の欲得勘定とその時々の心理状況である。
それが最近では、個別株投資などよりもインデックス先物を相手としたコンピューター運用や無機質なディーリング運用が主流となってきた。そして1秒間に千回を超す高速売買が大流行ともなると、もう人間のどうのこうのなんて置いてきぼりもいいところ。
そう考えたくもなろう。ところが、どっこいである。コンピューターによる高速売買が幅をきかし、ビックデータの活用とかAI運用とかになればなるほど、むしろ人間の出番である。否、出番というよりも重みを増す。
過去のデータをコンピュータで高速処理したり、そこから学ぶだけのAI運用では手が届かない穴はいくらでも見つけられる。ふとした思いつきともなると、人間にしかできない芸当である。
したがって人間というものを学ぶことは、長期投資において永遠の課題といえる。まあ、そこまで堅苦しく考えずとも本書でいろいろ勉強できる。