家に仕送りをしてたぐらいの苦学生だったが、3年間ですべてのカリキュラムを終え、卒論も提出するだけにして4年の春、ヒッチハイクで行きあたりばったりの無銭旅行に出た。
半年かけてソ連・北欧・中欧・南欧・東欧・中東・インド・東南アジアを巡った。海外へ行ってみたい…2年生の時から温めてきた思いを実行に移したわけだ。
帰国後2~3年経って人から本書を教えてもらった。「この本に触発されたの?」と尋ねられたが、まったく知らなかった。それで「あの有名なベ平連の小田さんも行ってたのか」と驚いた。そして「フフフ、俺の方が安上がりの旅をしたぞ」とニヤニヤ。
フィンランドのヘルシンキからトルコの首都アンカラ近くまで完全にヒッチハイクで移動したから、多くの人たちのお世話になった。幾度か危険な目にも遭ったが、総じて人のやさしさを各地で実感できた。
当時、ヨーロッパの田舎では日本人としての珍しさもあってか、ごく普通に生活している人たちが温かく家庭に迎え入れてくれた。あちこちで5日ほど滞在しては、いろいろ見聞を広めた。
あの経験もその後の長期投資に生きている。一般生活者による一般生活者のための長期投資の、ひとつの原点でもある。