Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

 

新渡戸稲造はなぜ『武士道』を書いたのか 愛国心と国際心
草原克豪 著
PHP新書

“今日、グローバル化時代を迎え、あらためて日本と日本人の発信力が問われている。…しかし、発信力とは単なる英語力の問題ではない。大事なのは何を発信するか、何を主張するかである。伝えるべき中身であり、その人の拠って立つ思想である。
そのためには、まず祖国の大地にしっかりと根を下ろしていなければならない。自国の歴史や伝統、文化に対する深い理解と愛情を持ち合わせていなければならない。
新渡戸は世界的な視野をもった愛国者として、常に日本の繁栄を考え、日米の友好親善、世界平和の実現を目指して発信し続けた。その人生は義務と名誉と祖国を大事にする武士道的人生そのものであったと言っていい”
長々と「はじめに」の一部を引用したのは、新渡戸稲造を題材としてはいるが、本書から著者の警句がビンビンと伝わってくるからだ。それは、最近の偏狭な一国主義とかポピュリズムとかの世界的な風潮に対してだ。いまこそ、われわれ日本がその武士道精神でもって世界をリードしようとする気概が求められる。
さわかみファンドの本格的な長期投資では、米国などで横行している株主の利益優先のマネー資本主義に対し、真っ向から生活者投資家という考え方をぶつけていっている。一部の人たちだけが豊かになっていく社会でいいはずがない。
どちらが、より多くの人々にとっての幸せにつながるか、そしてより普遍性のある価値観かは一目瞭然である。これも、世界に対する堂々たる発信である。

関連記事
RELATED

「澤上篤人「俺の本棚」」の他の記事
OTHER