配当を上げる力を期待して長期保有
油化や資源価格の下落リスクもあるが、新規事業への転換
株式の価値は未来の配当の現在価値でしかないとの理論があります。無配当の企業でも株価が付いている以上は価値があると認められますが、それはいずれ配当を出すという期待感があるからです。ですから、安定的に増配し続けている企業は投資家に一定の評価をされ、株価が落ちたら未来の配当利回りが高くなるのでショート(注1)されにくいとも言われています。その観点で、同社は苦しい状況でも5期連続の増配を宣言しており、配当の絶対額は5年前の約2.7倍になる予定です。もちろん、原油がバレル当たり1ドル下落したら当期利益が25億円下がる見通し(注2)で、減配するリスクも否定できません。ただ、同社は長期的なトレンドを把握して、新規事業に投資し稼ぐ力があります。例えば、主に新興国の食料を生産、出荷、加工、販売して世界に供給するOLAM社への投資、次世代土地開発がテーマとなると見込み、インドネシアなどの地域で鉄道、道路の交通インフラや電力水道のユーティリティなどを含んだ都市開発に投資しております。知見を活かして新興国の社会基盤を作りだすことでリターンを生み、投資家に配当として還元するサイクルは素晴らしいと感じております。
注1:空売りの意味でヘッジファンドなどが将来株価が下がる企業を探し、証券会社などから株を借り市場で売ってから後日同じ株を買い戻す手法。株価が下がれば利益になるが上がれば損をする。その間の配当や金利に応じた手数料を証券会社に払わなければならない。
注2:参考として昨年度の親会社の所有権の純利益は5,353億円。
【アナリスト 大岩 賢】