Sawakami Asset Management Inc.

CONTENTS
# タグリスト

 

“さわかみファンド運用報告会2020“は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、例年のような投資先企業を招いての開催ではなくオンラインにて開催する運びとなりました。今年3月にはコロナショックが起きたと思いきや、5月、6月と株価が急上昇しナスダックは最高値を更新するなど株式相場が不思議な動きを示しています。そのような中、さわかみファンドの運用の現場とファンド仲間の皆さまと日々対面している直販部がどのようなやり取りを行っているかを知っていただきたいと思い、企画したのが“運用に迫る”という動画コンテンツです。今回は長期投資だよりにて、その対談の一部を文章にてご紹介いたします。

 


 

水上 皆さんこんにちは。今回ファシリテーター・司会進行役を務めます、管理部の水上と申します。今年のさわかみファンド運用報告会2020ですが、今回はオンラインでの開催ということになりました。その中で、“運用に迫る”という対談を企画し、動画コンテンツにしていこう、ということで今回撮影をしております。内容としては、お客さまと関わる直販部から、運用を担当する運用調査部に対して、核心に迫った質問をして意見交換していきたい、という風に考えております。趣旨については運用報告会の若き担当、村瀬さんに説明してもらおうと思います。

村瀬 今回の運用報告会の担当を務めさせていただきます、直販部の村瀬と申します、よろしくお願いします。
今回のコンテンツ“運用に迫る”について、まずきっかけからお話しさせていただきます。私は直販部の“ご縁の窓口”でのお客さま応対に携わっており、日頃お客さまから様々な質問やご相談をいただいています。今年の3月、コロナショックが起きたことで相場が大きく下落したタイミングがありましたが、その時にお客さまから“下がった時に応援買い”というようなことでご購入いただくということもある一方で、一部の方から「今後の相場が不安だ」というお話をいただきました。そういったお客さまに対して何かお伝えできないか、ということを考えて、今回の対談を企画させていただきました。この“運用に迫る”動画を通じて、約12万名のお客さまの声を直接聞く直販部の目線から、運用の現場や考え方をお伝えできればと思います。

水上 それではさっそく、直販部の方から質問をしていこうかと思います。最初に平谷さん、どうぞお願いします。

【直販】平谷 私は子供のために、さわかみファンドで定期つみたてをしています。実際始めてから4年しか経っていなくて、基準価額も平坦な時期に買っているので、現在の自分のつみたて評価額が今の結果になっているというのは分かっています。ただ、実は自分の中で目標を立てていて、今のままだとその目標に達成するのがちょっと難しい状況です。試算したところ、目標を達成するには利回りが5.5%なければ達成ができない、という結果がでました。そのため、つみたての増額やスポット購入を考えたりしてはいるんですけれども、それだけではやはり目標に達成するとは思えません。今後運用調査部でパフォーマンスを向上するためにも、今後の運用の手法を変えていくとか、パフォーマンス上昇を期待していいのか、というのをお伺いしたいと思います。

水上 では以前直販部にいらっしゃいました藤沼さん。

【運用】藤沼 つみたての資産運用というのはパフォーマンスももちろん大事なんですけれど、ご自身の生活の見直しというのも大事です。例えば今出費しているお金が本当に必要なものかなっていうのを見直して、その結果お金に余裕ができたのであれば、それを使って増額なりスポットなりっていうのを検討してみるのが良いのではと思います。せっかくつみたてをしているので、相場につられてお金を動かしたりっていうのは正直得策ではなくてですね、こういった運用は私たち運用調査部員に任せていただいて、あとは自分の生活や趣味、お子さまのためにつみたてているのであれば、子供の教育っていうのが一番大事だと思うので、そういうところに気を使うのがいいんじゃないかと思います。

【運用】佐藤 運用をこれから変えていくのか、ということに関してはその通り。お客さまから預かった財産を増やしていくためのベストな運用は何かということを常に、企業調査の観点、トレーディングの観点、運用全体の手法についても考えているし、むしろ変わり続けています。数字の約束はしていないものだから、それをわかって投資はしてくれているものの、5.5%という数字よりもおそらく、本当に信用できるかどうかっていうポイントがあるんじゃないかなと思うんですよね。そこは例えば直販部に電話をしていただくのでも、また運用報告会に参加していただくのでもどんな形でもいいから。本当に個人的なことでもぶつけてもらうのがいいんじゃないかなと思います。

【運用】草刈 2009年から2019年の第11~20期の複利のパフォーマンスは、複利年率で5.8%です。よって僕らは先ほどの年率5.5%を達成できないとは思っていません。たしかに足元4年間がそれほど優れた成績ではない事については自分も反省しなければいけないと思っていますし、忸怩たる思いです。子供のためにつみたてているという事についてももちろん理解できるし、私たちも皆自分たちのために、もしくは子どもたちのためにつみたてているので、同じようにもっと増やしたいと思うし、どうしたらいいかっていうのは常に考えています。             逆に、運用を信じられない理由がパフォーマンスだけにあるとするなら、運用の手法を変えるという点においてはナンセンスなのかな、と思います。運用の手法の何を変えることが大事だと思うのか。それがないと議論にならないと思います。

【運用】大岩 応援する企業として社会的課題を本業で解決する企業、成長できる企業、地域貢献できる企業を探しています。お客さまのリターンへの期待は分かりますが、考え方を変えて世界経済の成長、GDPの成長は低迷し、日本の人口は減少する中でアウトパフォームする企業を探すのが運用の役目だと考えています。しかし、成長の期待が高まりすぎた企業を選ぶのはむしろリスクが高まってしまいます。

【直販】村瀬 運用で変わる部分と変わらない部分の話がありましたが、世界の中央銀行や政府が財政出動ないしは金融緩和をしている中で、投資環境としての前提が変わってきているのではないでしょうか。例えば最近だと、テスラに代表されるようなアメリカのIT関連企業の株価が上がってきていますが、私たちは期待というよりは実態を重視して投資してきましたが、そうした中で運用を変えるとは、具体的にどういうところを変えていくのですか?

【運用】草刈 変えるか変えないかの話がちょっとズレていると思うんだけれども、テスラという個別銘柄が出てきたのであえてその話をすると、たとえばテスラという企業、今本当に買うべきだと思いますか? それは期待値が高いから買うべきなのか、ということですよ。株価に投資するならそれでいいと思うけれども、私たちは企業価値に対して投資をしたいと考えています。ただ単純に「株価が上がるから買いましょうよ」という話であるならば、それはさわかみ投信じゃないと思います。それを期待したいなら違うファンドを買った方がいいんじゃないだろうかと私は思います。

【直販】村瀬 私たちの生活の基盤が、モノ消費からコト消費に移ってきている中で、将来の成長を取り込めるというのを考える時に、例えば動画の配信サービス、配車サービスのウーバーなど、コト消費の部分にもっと投資をしていく方がいいのではないのでしょうか。

【運用】草刈 ウーバーは IPOから株価が下がり続けており、パフォーマンスが劣化している。それに投資をした方がよかったということですか?

【直販】村瀬 全体を個別で見ていくと、下がっていくものもあると思いますけど…

【運用】草刈 そこだと思う、個別で見ないと意味が無いと思います。「あるセクターが良い、だから投資をしよう」ということであれば、我々に存在意義は無いと思います。もしセクター投資でいいんだったらNASDAQに投資すればいいじゃないですか。パフォーマンスだけを求めるならセクター投資で良いと思います。

【直販】加地 個別という話だったので、まず先ほどまで何を変えるかっていう話をしていましたけれども少し、量の話をさせていただきます。2018年度に提案された企業数は70社ありました、これが2019年度において提案された企業数は採用されなかったものを含めて50社です。個別が大事と言いながら、提案企業数が3割減ったことについて運用調査部員の方々のご見解を教えていただければと思います。

【運用】草刈 それは調査している数が少ないのではないかってことでしょうか?

【直販】加地 はい。個別をより拾っていくにあたっては、全業界を網羅した上で、ダイヤの原石を拾っていかないといけないのですが、よくよく調査してみないと本当にそれがガラスかダイヤなのかわかりませんよね。だとすると、審議に出していく企業数っていうのは多いに越したことはないし、少ないことはむしろ問題だと思います。

【運用】歌代 私の経験から言うと、一つの技術から広く企業を探してそこから有望企業を見つけるならたくさんの企業を調べられます。しかしそこから5年後に利益を出す企業を発掘できる可能性は減ります。総当たり戦と言うよりは今あるところから延ばして探していく手法です。

【運用】坂本 量も大事だと思います。趣旨としては全業界を俯瞰する必要があり、その中でキラリと光る企業を見つけてきてほしいということだと思いますが、私が最近行っているのは、日株米株600社くらいをリスト化し、そこから調べてみたい企業を挙げます。まずは業界を深く俯瞰した上で、この業界で競争力の高い会社だったら将来企業価値を高められるのではないか? というところを優先的にピックアップしていく、という手法をとっています。枚数というより確度、今は特にこのコロナ禍で不安定な状況ですので、そういう調査をしています。

【運用】西島 今ある生活がどのように変化していくかというよりも、今までの生活を継続していくために必要な企業はどこか、と言う観点がこれまでは強かった。今後の私たちの未来を考えていく時に、より想像力が試されると思います。

・・・続きは
「さわかみファンド」運用報告会2020 ONLINE
特設ページにて、動画でご覧いただけます!

 


「運用に迫る」対談を終えて

動画内では、運用調査部員と直販部員が向かい合うかたちで質疑応答をし、さわかみファンドの運用やその現場について深掘りしていきます。このような形式での意見交換はしばしば行いますが、時には今回の動画のようなピリつく展開があります。もちろん不仲なわけではなく、真剣に話し向かい合っているからこその展開です。私たち直販部員は日々お客さまから色んな角度からのご質問をいただきますが、時には迷い戸惑うこともあります。そうした中で、運用調査部と意見交換をすることで自身の考えの根拠固めやより良い応対をするためのきっかけを見つけることができるのです。運用調査部員と直販部員が両輪として相互に支え合い、さわかみファンドをより良くしていくことこそが、私たちが直販会社であることの強みだと考えています。【直販部 村瀬】

 

「運用に迫る」対談に参加した各部員からのメッセージ

さわかみ投信にファンドはたったの1本しかありません。そのため、全社員の「ファンド仲間にもっと貢献したい」という姿勢は、手前味噌ながら熱いものがあると思います。しかし今回の会は撮影が入っていたために正直物足りなかったと感じています。普段から朴訥と思われがちな私が言うのもおこがましいですが、こういう場ではもっとヒートアップしてケンカをするくらいの勢いがあっても良いのかもしれません。お互いにそれぞれのプロとしてそれほどの熱さを持った妥協のない関係性を構築することが、弊社をステップアップさせるエネルギーになるように思います。とはいえ今回の対談は良いきっかけになったのではないでしょうか。理念に共感して入社した同志として、心は熱く、頭は冷静に、今後とも切磋琢磨していければと思います。【運用調査部 坂本】

 

当日は緊張感で張りつめていました。運用調査部では日々すさまじい量の企業調査をしており、今回の対談においても調査・運用に対する芯の強さを感じました。少しヒートアップする場面もありましたが、お客さまに対する想いは同じであり、さわかみの在り方について再認識できた会でした。お客さま応対が主となる直販部にとって、運用調査部のこだわりや投資に対する熱意を直接感じることで、より自信をもってお客さまにさわかみファンドの強みを伝えることができると思います。それに今回、お互い本音で意見交換をしたことで社員同士の絆も深まり、さらにそれがお客さまとの絆にも繋がると思います。今後も良い意味でぶつかり合いながら、これからのさわかみファンドをつくっていきたいと思います。【直販部 平谷】

 


 

今回の記事をお読みいただいて「対談を全て聞いてみたい」「動画でも視聴してみたい」
と思われた方は、下記のURLより運用報告会アーカイブ動画をご覧になれます。

「さわかみファンド」運用報告会2020 ONLINE 特設ページ
https://www.sawakami.co.jp/uh2020_online/

関連記事
RELATED

「スペシャルコンテンツ」の他の記事
OTHER