今回は、さわかみグループの主と言える二つの団体の紹介です。一つは、さわかみグループの筆頭会社である“株式会社さわかみホールディングス(以下、HD)”。もう一つが、主に社会貢献活動を行う“一般財団法人さわかみ財団(以下、財団)”です。資本関係で言えば、さわかみ投信など各事業会社の株式を保有するのがHDで、全体を束ねる役割を果たしています。そして、そのHDの株式を保有するのが財団であり、各事業から上がった利益はHDを通じて配当金で受け取り、直接的に社会活動に充てています。
HDは全事業会社を束ねる管理会社?
もちろん、その要素は小さくないです。実際、ほぼ全てのグループ会社が居を構える半蔵門のオフィスはHDからの転貸です。また、HDが総務など間接業務のシェアリングサービスを提供し、各事業会社の負担を圧縮、事業会社は本業に集中できる環境もあります。と、ここまでは一般的なホールディング会社と変わりませんが、“さわかみ”HDは管理の枠を超え、自らの理念でもって事業を展開しています。それがインキュベーションです。
インキュベーション…社会に必要だと思われるアイデアや、実現のお手伝いをしたいと思える夢などを持つ個人・法人に対しHDが出資・永久保有を行い、彼らの理念を応援します。法人は時に、親会社の意向によって大きく揺さぶられます。そこで、さわかみ投信が掲げる“パートナー株主”と同じく、私たちが投資業界において散々学んできた株主の役割、つまり長期投資の社会的意義を発揮し、理念と持続性の一致を促すのです。
また、コロナ禍で状況が大きく変わったものの、未だに法人は住所に信頼がつきます。千代田区一番町の住所、そしてシェアリングサービスを安価で利用でき、また周りに理念に燃える法人・個人が溢れるさわかみグループは、起業家にとって良い環境だと考えます。結果、社内外から志の芽が生まれ、さわかみグループは業種に捉われない多数の法人で構成されるようになりました。
以上、前回レポートと重なる部分もありましたが、お問い合わせもあったため改めてお伝えした次第です。なお、さわかみグループのロゴである新芽は、まさに以上のことを表しているのです。
財団って、あのビレッジ活動をしていた財団?
そうです。しかし土地取得が難しく、宣言から10年以上経った今も進捗を見せていない状況です。しかしそれはハード(箱)の話であり、ソフト(中身)は着々と進んでいます。それが、環境保全やスポーツ文化の醸成、技術承継や地域の応援などです。うち一部は財団から独立し、専業としてグループ内で展開しております。
現在、財団は“自立”をテーマに、グループ資金に頼らない体制づくりに励んでおります。つまり、財団独自の活動から生まれた資金を次なる活動費に充てようという試みです。無論、大規模な活動はグループ資金を充てていく方向ですが、より機動的に、そして自在に活動する意思の表れなのです。
次回、より専門性を追求する二つの公益財団について述べていきます。
代表取締役社長 澤上 龍
【参考】
■株式会社さわかみホールディングス:https://sawakami.com/
■一般財団法人さわかみ財団:https://sawakami.org/