iDeCo? 利回り? 今さら聞けない投資のアレコレを、投資初心者の2人が
投資のプロ“さわかみ君”にぶつけます。第6回は「ファンド仲間は株主総会に参加できるの?」
五来 毎年6月頃は株主総会のシーズンですね。そういえば、さわかみファンドを購入しているファンド仲間は、企業の株主総会に出席できるんですか?
さわかみ君 残念ながら出席できません。なぜかというとファンド仲間の皆さまは“ファンドの受益者”であって、ファンドが投資している“企業の株主”ではないからです。
岡 となると、さわかみ投信が投資先企業の株主になるんですか?
さわかみ君 いい質問ですね。ファンドを運用しているさわかみ投信が株主のようにみえるかもしれませんが、実はさわかみ投信でもないのです。
岡 むむむ。そうなると、株主は誰なんですか?
さわかみ君 そこで質問です。ファンド仲間の皆さまがファンドを購入する際のお金はどこにいきますか?
五来 信託銀行でしょうか。
さわかみ君 ピンポーン! さわかみ投信は、信託銀行が保管するお金に対して運用の指図をしているだけで、実際に企業の株式を保有しているのは信託銀行です。つまり、投資先企業の株主は信託銀行になります。
五来 なるほど。そもそも株主総会って何するんですか?
さわかみ君 株主総会では、企業が提示した議案に対し、株主が賛成または反対などの議決権行使を行います。ちなみに、株主も議案を提出できるんですよ。
岡 だけど株主総会に参加できなければ、賛成も反対もできないですよね?
さわかみ君 議案は必ず信託銀行から事前に共有されます。企業の株主は信託銀行ですが、あくまでも資産の管理をしている立場であり、実際に賛成・反対の意思表示を行うのはファンドを運用している私たちだからです。
岡 さわかみ投信ではどうやって賛成・反対を決めるんですか?
さわかみ君 例えば取締役の選解任、役員報酬、さらには企業の合併等さまざまな議案に対して、その企業を担当しているアナリストの意見を聞きながら最高投資責任者(CIO)が賛成か反対かの意思表示をします。
五来 より専門的な観点から企業に意見を出しているのですね!
さわかみ君 相当専門的な議論になります。役員選解任の議論一つにしても、判断を間違えたら投資先企業の社員も含めみんなが不幸になりかねませんから。
岡 確かに。軽はずみに賛成・反対できませんね。そう考えると私たちファンドを購入する側にとっても、どのファンドを選ぶかはやはり重要ですよね。
さわかみ君 岡さん、なかなか鋭いですね! そもそも世の中には企業をみないで株価だけ追いかけるファンドも少なくありません。インデックスファンドがその典型例です。インデックスファンドは、指数から乖離しないように運用するのが目標であるため、企業をみるためのアナリストは必要ありません。しかし、株主ですので議決権行使ができる立場にあります。企業を日頃リサーチしているアナリストがおらず、議案の個別判断が難しい。ではどうするか。助言会社の意向に従って議決権行使したりします。
岡 議決権行使の助言会社なんてあるんですか?
さわかみ君 そうです。助言会社もきちんとした議決権行使に対する考え方を持っているので、それを否定するわけではありません。しかし、インデックスファンドに組み入れられているすべての会社を調査することはできないので、一律に中間的な助言をしてしまう可能性もあります。一方、投資先企業は千差万別で、社員1万人規模の企業と100人の企業、100年以上歴史を持っている企業と創業したばかりの企業では、直面しているフェーズや経営方法も大きく異なります。多様な企業が存在する中で、一律に議決権行使をしてしまうことが果たして正しいことなのか。甚だ疑問が残ります。
五来 投資先企業のことを本気で考えず、形式的に議決権行使を行っていることもあるということですか? 恐ろしいですね。
さわかみ君 おっしゃるとおりです。そのためファンドを選ぶ際には自分がどのような目的で投資をしたいのか考えてみることもよいかもしれません。資産形成ができれば十分なのか、もしくは企業を応援したいのか。
さわかみファンドは、議決権行使含め投資先一つひとつの企業との対話を重視し、企業価値向上を一緒に目指します。長期的に企業を応援し、ファンド仲間の皆さま、そして社会を豊かにしていきたいという想いで運用を行っています。
岡 投資=利益や資産形成というイメージなので、社会貢献や企業の応援という考えに至らない人はきっと多いですよね。
五来 企業側からみたさわかみ投信の評判も直接聞いてみたいですね。
さわかみ君 ちょうど9月に開催される運用報告会に投資先企業が多く参加されるので、その時に直接聞いてみてはいかがでしょうか。
岡 分かりました! 私たちファンド仲間は株主総会には出席できないけど、企業への応援の気持ちをさわかみファンドに託しているということですね。