今回は、多くの人の手で支える仕組みをつくる“株式会社ローカルプラス”をご紹介します。
ローカル(地域)にプラスを
地域にある資源を活用し何ができるか? そんな問いから始まった同社は、従来型の「外から産業を地域に誘致する」のではなく、「その地域に根付いた産業を伸ばす」ことが無理のない地域活性化だと考えています。地域外からの収入を得つつ地域の雇用を創出し、魅力ある地域の未来づくりをお手伝いする…それが“ローカル(地域)+プラス”という社名の由来です。
第一次産業(農業・漁業・畜産業)は日本の食を支えます。歴史資源は観光資源となります。そして豊かな自然はエネルギーにもなり得ます。そのような眠れる資源こそローカルプラスが対象とするカテゴリーであり、そして地域の事業者の手で目覚めさせるお手伝いをするのがローカルプラスの企業活動です。具体的には、助言活動や資金調達活動、そして関連企業の“株式会社自然エネルギー市民ファンド”のサポート業務などがあります。
自然エネルギー市民ファンド?
クラウドファンディングはご存知でしょうか? プロジェクト発足者が自らの夢を共有し、広く世の中から資金を集め、夢を成就させる。夢の過程または結果から生まれた“何か”を資金提供者にお返しすることもあります。クラウドファンディングには投資型、購買型、寄付型と種類はありますが、大切なのは“夢”への資金提供ということであり、仮に必要資金が集まらなかったら(人々からの共感を得られなかったら)、プロジェクト発足が叶わないというチャレンジングな要素も…空箱とも言われるSPACとは真逆の仕組みです。
ただし、実際にプロジェクトを発足するとわかる通り、資金提供者は案外身近な人ばかり。よほど高名か、またはお返しが豪華でないとなかなか人はお金を渡してくれません。調達した資金の7~8割が縁故者だったというデータもあります。つまりクラウドファンディング業者に頼む必要もなく、自ら資金提供のお願いに上がれば多額の仲介手数料も取られなかったのに、ということにもなり得ます。一方で資金管理は業者を挟んだ方が安心ということもあるので一長一短ですね。
さて、自然エネルギー市民ファンドはその名の通り、地域資源である自然エネルギーの活用を市民の手で支えることを目指すファンドです。地域住民を主に少しずつ出資を募り、その資金で自然エネルギーのプロジェクトを発足(発電事業者へ出資)、生まれた電気を電力会社に売却することでリターンを得、それが出資者に分配される仕組みとなります。上述のクラウドファンディングの通り、自らの地域のことにお金を出すのが人情であり、資金調達も合理性を得ます。それを地で行っているのが自然エネルギー市民ファンドということです。
さわかみ投信以外でも、未上場企業の後継者未定問題や、地域活性化をお手伝いする金融の仕組みがあることを知っていただけたら幸いです。
さわかみ投信株式会社 代表取締役社長 澤上 龍
(参考)
株式会社ローカルプラス:https://localplus.co.jp/
株式会社自然エネルギー市民ファンド:https://greenfund.jp/