前二回にわたり、金融の仕組みによって未上場企業、そして自然エネルギーを支えるグループ会社を紹介しました。広く一般の資金を応援投資にまわすという概念はさわかみ投信と同じで、その対象がそれぞれ違い、さわかみグループ全体で点を面に隙間なく埋めようとしている姿を理解いただけたのではないかと思います。今回は、また少し違った毛並のグループ会社を2社紹介いたします。それらはまさに、さわかみグループのロゴにある“新芽”そのものです。
株式会社サクラカゴ
「サクラ=日本の花」+「カゴ=籠」という社名の同社は、女子バスケットボールの未来を憂い立ち上がった創業間もない会社です。さわかみ財団主催の“いのちの教室(アスリートセーブジャパン)”の活動で登壇した元バスケットボール選手との懇親会にて、私たちはその女性の夢を伺い意気投合。即座に、さわかみグループ内に彼女の夢を実現する会社の設立を促し、出資しました。
東京オリンピック閉幕直後の現在、日本女子バスケットボールチームの躍進もあり、多くの人の記憶に“女子バスケ”が刻まれたことでしょう。しかし何もしなければ、その記憶もいずれ薄れていきます。サクラカゴは、女子バスケをファッション化(価値と影響力の向上)させ、教育とつなげ、社会とつなげ、そして未来へとつなげる活動をしています。選手が影響力を持てれば、彼女たち自身が社会に問いかけられることも増えるでしょう。その結果、誰もが小・中学校の授業で体験したバスケを、職業やその生き様といった選手像に憧れ、そして応援できるようになれば…バスケに関わる人たちの世界を少しでも良くしていけると願って。
具体的には、学校等に対するバスケクリニックやイベント開催、Youtubeによる魅力発信に止まらず、グッズ販売、食文化やアート文化の醸成に尽力中です。いずれ、サクラカゴ発足のチームが日本女子バスケ界で軽やかに暴れる日が来るかもしれません。
(参考)株式会社サクラカゴ http://sakuracago.spo-sta.com/
さわかみビール?
もう一つの芽は、株式会社横浜ビールです。さわかみホールディングスが横浜ビールホールディングスの株式を取得、その子会社に横浜ビールがあるという組織図になっています。
もともと同社代表とさわかみグループが懇意にしていたこともあり、「さわかみグループにいずれは」という想いを秘めていた最中、新型コロナウイルスという大打撃を受けグループ傘下に入りました。表向きにはコロナ禍での救済措置のように見えますが、本来は、同社の考える“食の循環”や“街づくり”、そして、人を主役に立てる理念に共感、分野は違えど同じ志を持つ仲間であったものが、コロナをきっかけに家族になったという方が正しいでしょう。
現在なおコロナによって厳しい環境下で戦っている同社。レストラン事業はさすがに苦しいものの、缶ビール販売の開始、アートやスポーツの支援など、人を大事に、志のままに頑張っています。いつか、コロナが収束したら、是非とも一度、横浜のさわかみビール?を味わってみてください!
(参考)株式会社横浜ビール:http://www.yokohamabeer.com/
今回紹介した2社は、さわかみグループとは何の関連性もない業態だと考えられます。しかしそれは客観的見方であり、内部からはまったく違ったものが見えてきます。それは理論で説明できるものではなく、それもまた“さわかみグループ”の要素なのかもしれません。
さわかみ投信株式会社 代表取締役社長 澤上 龍